(これは小説です)
9.異常な空間と当たり前な空間4
アイツに洋服を買ってもらって、ゲームをして…、色んなお店を
見て…、夜ごはんを食べた。
「時間ヤバいなぁ…、間に合うかなぁ…」
「まあまあ…、別に殺される訳やないやん!」
「まあ、それもそうかっ!」
施設に帰り着くと門限の8時はとっくに過ぎていた。
「やっぱり、遅れたな」
「まあまあ…!」
アイツが私の気持ちを明るくしようとしてくれているのか、
少しふざけるようにそう言って、車椅子を押して自動ドア
の中に入った。
職員が私に近づいて来て言葉を零した。
「お帰り、おしっこは…?」
『えっ…!』
私の心はひいた。
『アイツがまだ後ろにいるのに…!』
職員は後ろのアイツに気づいていないのか、更に続けた。
「出えへんの…?、なら、お部屋行こか!」
連れて行かれそうな私にアイツが言った。
「ほな、また」
『殺されるよりひどいなぁ…!』
-“異常な空間と当たり前な空間”5へ続く-
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