(これは小説です)
8.公衆電話と白い車5
いつの間にか私達は、アイツの車で外出するようになっていた。
外出届けの同伴者の欄にはアイツの名前を書いて提出した。
時々、後輩や高校生の時に劇の脚本を作った彼がアイツと一緒に
来て、一緒に出掛けることもあった。
そんな時も外出届けの同伴者はアイツの名前だった。
「また彼氏とデート…?」
詰め所に外出届けをもらいに行くとよく聞かれた。
「うん、かな…?」
私は時々、、わざとその問いを本当のことのようにしてみた。
アイツと電車に乗って出掛けたある日、駅で高校生の時の先生に
声をかけられた。
「何してんの…?」
「えっ、買い物」
アイツがサラリと応えた後、先生は私達に向かって言った。
「あんたら、まだやってんの」
「えっ、何が…?」
「だって、あんたらいつも連んでたやん!、付き合ってんの…?」
「えっ、何が…?」
アイツはごまかすためか、同じ言葉を繰り返し、私は久しぶりに
会った先生の無神経な問いに心で応えた。
『もう、ふられてるって!』
-“公衆電話と白い車”終わり-
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