ともこがそのことを知ったのは、本当に突然でした。ハンディを持った人の集まりにいつものように参加していた時のことです。話し合いが始まろうとした時、礼服を着た男の人が部屋に入ってきました。
「遅うなったなー、ごめん」
その声に振り向くと、その男(ひと)はいつもその集まりに来てくれている養護学校の先生でした。
周りにいた同じ学校の先生はその男(ひと)の礼服姿を見て驚いた様子でした。
「どうしたん先生」
「うーん、実はな、卒業生の葬式やったんや」
「卒業生て誰ですか?」
「悲しいことなんやけどなー、ゆうちゃん、ゆうちゃんなんや」
何となくその会話は聞こえてきました。『ゆうちゃん』
その名前をもう一度頭の中で繰り返してみてともこは、はっとしました。
「ゆうちゃん…?」
その名前はともこの心の中に大きく広がっていきました。
ともこは礼服の先生に必死になって聞きました。
「ゆうちゃんて、中学の時にそっちの学校に転校したあのゆうちゃん?」
「ああ、そやったな、そやけど…、知ってんのか?」
「私、仲良かってん」
「そうかー、今年のこの集まりに来る言うて楽しみにしてたんや、来られてたら逢えてたのにな」
「ほんまに逢えるとこやったんや、逢えてたら、ゆうちゃん、どんな顔したやろ、きっと可愛い顔して笑ってくれたんやろな…、あの頃みたいに…。」
~つづく~
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