(これは小説です)
9.異常な空間と当たり前な空間5
電話を受けて、アイツの待つ“下”に降りて行った。
しばらく話していると、アイツが写真を見せた。
そこには知らない女の子が写っていた。
「えっ…、誰…?」
私のサラっとした問いにアイツもサラっと応えた。
「えっ、彼女」
「付き合ってんの…?」
「だから、彼女やって…!」
「若いやろ…?」
「かなり年下…、ええ子やで!」
『彼女つくるんや…』
ショックというよりも意外だった。
コミュニケーションの苦手なアイツ、彼女をつくろうとはしないやろうと
私は勝手に思っていた。
『アイツには、当たり前のことやのに…、失礼よな…』
アイツは、ただ、友達の私に自分に彼女が出来た嬉しさを報告に来て
くれたのだろう。
「この前の洋服屋さんに連れて行ってるのもこの子なん…?」
「うん!」
アイツが後輩と突然私の家に来てくれたあの日から、学校を卒業して、
一度終わった時間がまた新しい時間に繋がったのだろう。
数ヶ月後、“彼女と別れた”と友達の私に報告に来てくれた。
-“異常な空間と当たり前な空間”終わり-
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