(これは小説です)
8.公衆電話と白い車2
私を家まで送ってくれて、4人で何となく喋っていた。
私は、ちょっと気になってたことをアイツに聞いてみた。
「なぁ…、就職どこに決まったんやっけ…?」
「えっ、仕出屋やけど…!」
「そうかっ、がんばってな!」
「うん!」
“そろそろ帰ろう”と3人が立ち始めた時、アイツが私に聞いた。
「なぁ…、4月から行く施設の場所って解るん…?」
「うん、解るけど…、ちょっと待ってな」
私は、母に聞いて、アイツに施設の住所と地図を教えた。
アイツは、それをやっぱり優しく柔らかく受け取って、後輩と
一緒にサラッと帰って行った。
「ほな、また」
学校を卒業して…、寄宿舎を巣立ち…、毎日一緒にいられなく
なったらアイツともお別れだと思っていた。
だけどアイツは、自分の気持ちで、わざわざ会いに来てくれた。
淋しさに沈んでいた私の心に嬉しさの光が射し込んだ。
“ほな、また…”アイツの未来に繋がるその言葉が嬉しかった。
-“公衆電話と白い車”3へ続く-
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