(これは小説です)
6.ラブレターと新しい友達4
アイツの手紙を読んでから、私は、何となくアイツと喋れなく
なった。
アイツも私の雰囲気から気持ちを察したのか、その日の“いつも
の時間”は2人で過ごさなかった。
次の日の朝食後のオセロを見守ることも、一緒に登校することも、
給食の時の笑かしも、訓練室に迎えに来てくれることもなかった。
友達が1人でいる私を見て、教科書の準備や教室の移動を手伝って
くれた。
「なぁ、アイツとけんかでもしたん…?」
教室の移動を手伝ってくれた友達が聞いてきた。
「別に…、してへんよ…」
私は、素っ気なく応えてしまった。
「ふ~ん、でも、いつも一緒にいたやん!」
「そうかなぁ…」
「早よ、仲直りしぃや!」
友達は、笑顔で言ってくれた。
『けんかした訳じゃないしなぁ…、仲直りってどうしたら…』私は、
放課後の訓練を終えて、訓練室から車椅子をゆっくりこいで寄宿舎
に向かっていた。
『間に合うかなぁ…?』不安に思いながら、寄宿舎の夕食を目指して
車椅子をこいでいた。
その日も“2人のいつもの時間”を過ごすことはなかった。
アイツと話さなくなって、私の生活の彩りは、ドンヨリに変わった。
-“ラブレターと新しい友達”5へ続く-
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