(これは小説です)
5.恋と戦い5
朝、いつものように教室に入ると、黒板にチョークで大きな“愛愛傘”
が描かれていた。
愛愛傘には、アイツと彼女の名前が書かれてあった。
アイツは、何気なく、私を席に着けて、自分も席に着いた。
『気づかない訳ないよなぁ…?』
からかう友達もいたが、アイツは、何も反応しなかった。
『彼女が描いたんやろう…!』私は思った。
私はアイツが“愛愛傘”に何の反応もしなかったことに腹が立った。
寄宿舎に帰っても、アイツと口をきかずにいた。
“いつもの2人の時間”も、私は黙ったままだった。
「何か怒ってんの…?」
アイツは、何度も聞いてきた。
『何かって…!』私は、ますます腹が立った。
就寝時間になった。
「もう、部屋に戻らなあかんねんけど…」
「…」
「気になって、寝られへんわ!」
私は、その言葉に反応した。
「だって…、愛愛傘のこと、何も言わへんかったやん…」
「何もって…?」
「怒りも、否定もせぇへんかったし…」
「ああ…、それは…、何も思ってなかったしやん…!」
「一緒に描かれてた人のことも…?」
「うん、何も思ってへんよ」
「ふ~ん、そうかっ!」
私達は、“おやすみ”を言ってそれぞれの部屋に戻って行った。
-“恋と戦い”終わり-
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