(これは小説です)
6.ラブレターと新しい友達2
アイツと私は、朝、一緒に登校して、一緒に勉強して、放課後アイツ
が私を訓練室に迎えに来てくれて、2人で寄宿舎に帰って…、グループ
活動の後、“2人の時間”を過ごして…。
アイツも私も、手紙のことは口に出さなかった。
アイツからの返事を待っていた私は、毎日、ドキドキしていたが、
それをアイツには気づかれないように、普通に振る舞っていた。
アイツには、“私が毎日、ドキドキしながら、返事を待ってること”に
気づかれたくないと思いながら、心のどこかでは、気づいてほしいと
いう気持ちもあったのかもしれない…。
そんなある日の“2人の時間”、アイツが封筒を出した。
「はい…、これ」
アイツは…、優しく…、柔らかく…、私の手に渡してくれた。
「えっ…、ああ…、ありがとう…」
私は、私が手紙を渡した時のアイツと同じように戸惑った。
私には、唐突な出来事ではなく、こんな場面を何日も待っていた
はずなのに…。
『もっと嬉しいと思ってたのに…、変なの…!』私は、自分から
生まれた感情にもかなり戸惑った。
「どうしたん…?」
ぎこちない私の雰囲気にアイツが聞いた。
「何でもない」
「そう…」
「うん」
私達は、“おやすみ”を言って、それぞれの部屋に戻った。
-“ラブレターと新しい友達”3へ続く-
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