(これは小説です)
5.恋と戦い2
文化祭は、クラスごとに発表を行う。
この年、私達のクラスは、ホームルームでもめた結果、“創作劇”を
することになった。
演劇に興味があった私はちょっとワクワクした。
どんなことを題材にするのか、脚本はどうするのかを話し合い
“銀行強盗の話…、で、主人公は銀行強盗”ということに決まった。
ストーリーは、クラスの男子が1人で考えたものだった。
“男2人組が銀行強盗をしてしまい、警官に追いかけられて、
捕まって、取り調べを受け、お金が欲しくて強盗に入ったことを
告白する”という感じで、コントのようなドタバタ劇だった。
ストーリーを考えた彼は、ちょっと引いてしまうほど、
このストーリーに力を入れているようだった。
“ストーリーをちょっと変えた方がいいのでは…?”という意見が
出て言い合っていた時、彼のいつもとは違う荒い言葉と、
ストーリーが書かれたファイルが飛んで来た。
『何のこっちゃ…!、銀行強盗て…』隣の席の友達と苦笑いした。
アイツの方を見ると、あんまり興味はなさそうな様子だった。
アイツに向けられた彼女の視線を感じて、うっとうしく思った。
『彼女の興味は、脚本のストーリーよりアイツなんやろなぁ…』
私は、自分のことは棚に上げて思っていた。
-“恋と戦い”3へ続く-
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