(これは小説です)
3.幸せと戸惑い3
“クリスマスの映画”の日、アイツが家まで私を迎えに来てくれた。
「ありがとうね」
妙に笑顔の母親に見送られて、私達は出かけた。
電車に乗って、映画館のある繁華街に着いた。
人混みの中、アイツといるその場所はいつもと全く違っていた。
「お腹、すいたなぁ…!」
私は…、まず、呟いた。
「何か食べる…?」
私達はランチにファーストフードを食べた。
車椅子の後ろでアイツが言った。
「映画見に行こか」
「うん…!」
私は、上から降って来たようなアイツの声に“ドキッ”として応えた。
「どっちの映画の方が観たいん…?」
「バッグトゥザフィーチャーかな!」
「ラストなら入って頂けますが…?」
“サンタクロース”の映画館でも同じことを言われた。
「どうしょうか…?」
『観るのは無理かな』そう思って聞いた私にアイツは応えた。
「どっちもラストなら、観たい方観たら!」
『えっ、そっち…!』私は、新しいことを教えてもらった子供の
ように、ドキドキした気持ちになった。
-“幸せと戸惑い”4へ続く-
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