(これは小説です)
4.想い
「姉さんは…、付き合うんやったら健常者派…?、障害者派…?」
突然の告白タイムから空気の流れを変えたのは、のぶのそんな言葉でした。
みきは、あまり聞き慣れない響きに違和感を感じてしまい、
少し大きめの声で聞き返してしまいました。
「何…?、健常者派、障害者派って!」
「健常者と付き合わなお互いに大変とか、付き合ってることにならへんとか、
お互いにヘルパーがいたら何かと大変やとか、逆に障害者同士やないと、
やっぱり、解り会えへんとか」
「へ~、そんなこと言ってる人たちもいるんや」
「俺とこの寮では、結構、話題になってますけど…」
「ふーん、私は、そんなこと考えて付き合ったことないなぁ…」
「何か、姉さんやな~、そういうとこ…」
「そう…?、だって、たまたま好きになった人がその時その時で、
健常者やったり…、障害者やったりするし…」
「どっちとも付き合ったことあるんすか…?、姉さんは」
「うん、あるよ」
「そうっか~、で…?」
「で…って、どっちと付き合っても、いいとこもあったし、悪いとこもあったし…、
で、のぶは…?」
「えっ…?」
「のぶはどっち派なん…?」
「結局、知りたいんすねっ」
「まあ、一応、参考までに!」
「では、参考までに、俺は、障害者派」
「ふーん、何でなん…?」
「ん~、やっぱり俺は、障害者同士の方が解り会えるって思うし」
「そうなんや…」
「どんなに頑張っても、同じ境遇の者同士じゃないと難しいっすよ」
みきは、のぶのこの想いに不思議な違和感とふわっとした寂しさを
ゆるやかに感じました。
-『初恋』5へ続く-
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