(これは物語です)
『小さな羽根』
Ⅴ 神様の答え8
「ミーメ、実は、お前に少し“あの者”のことを聞いておきたい」
「“あの者”とは…?」
「ジュナに造り物の羽根を付けた“あの者”のことだ」
「“名前のない天使”のことですか…?」
「ああ、お前たちにはそう呼ばれているようだな、“あの者”は、お前たちに
造り物の羽根は時々外す必要があることを伝えていなかったのだろう…?」
「はい、だけど、そのことは契約書に書いてあって…」
「それをお前たちが読みそこねていた、だな」
「はい」
「だが、“あの者”には、お前たちを見ていてそうなることが解っていたので
はないか…?」
「えっ…?」
「ミーメ、お前も気づいていたのではないか…?」
「いえ…、私は…、でも、途中から少し…」
「ジュナに痛みが出て、お前たちがもう一度自分のところにくれば、
確実にお前たちを私のところに行くように仕向けられる…」
「はい…、私と彼によってあなたが、持って生まれたものを変えることが
必要なものも在る(いる)ということに気づいて下さるように…」
「ミーメ、お前はそこまで気気付いていて…」
「確かに“あの方”は…、だけど、私たちを救って下さいました」
「“あの者”は、目的を果たすことになるかも知れんな…」
「神様…」
「近頃、“あの者”のところに“あの者”のように、私が願いを聞き入れて
やらなかった者たちが訪れている、お前も知っているだろう…?」
「はい、“あの方”に聞きました、私たちが仲間たちに話したことが広まった
のだとおっしゃっていました」
「そうだな…、それまでは単なる噂だと誰も近づかなかった、だが、
お前たちの話を伝え聞いた多くの者たちが単なる噂ではないと知り訪れている」
「はい」
「“あの者”は、その者たちにも造り物を与えて、私が聞き入れてやらなかった
願いを叶えてやっている」
「そのことで“あの方”にお怒りなら、私にも責任が…!」
「そういうことではないのだよ、ミーメ」
「では…?」
「“あの者”が私への復習心から悪意を持ってそのようなことを行っているの
なら、私は、“あの者”を許す訳にはいかない、だから、お前に聞いておき
たかった、ミーメ、お前はどう思う…?」
「“あの方”のところに訪れる者たちは、希望を持って訪れているそうです、
私は、“あの方”の中に悪意など感じたことはありません、“あの方”は、
私たちの幸せを願って下さっています、きっと訪れている者たちの幸せも
“あの方”は祈っておられます」
「そうか…」
「神様、みんなの希望を消さないで下さい、お願いします」
「解ったよ、ミーメ、ありがとう」
ー“Ⅴ神様の答え9”へ続くー
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