『小さな羽根』
Ⅴ 神様の答え2
「お約束はございますか…?」
「いいえ…、ありません」
「それでは、しばらくお待ち下さい」
「はい」
以前とは違い、門番の問いにはミーメが応えました。
「あの者が案内しますので…」
門の中に入って行き、再び戻ってきた門番が指し示した先には、
懐かしい姿がありました。
以前にもジュナとミーメを案内してくれた“エリア”でした。
ジュナとミーメは、ゆっくり“エリア”の方へ歩いて行きました。
「お久しぶりです、またよろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
“エリア”は軽く会釈をしてくれました。そして、自分についてくるようにと伝え、
少し辛そうなジュナを気遣いながら、ゆっくりと歩き出しました。
しばらく歩いて大きな門をくぐり、小さな扉が幾つも並んでいる廊下を歩きました。
その順路も先を歩いている“エリア”の姿も以前にきた時と同じでしたが、
ジュナとミーメの気持ちはあの時とは違うものでした。
『神様は、自分たちに怒りを感じていらっしゃるだろうか…?、それでも、
解って頂きたい…』
ジュナとミーメは、同じ気持ちで長い廊下を歩いて行きました。
やがて、あの時と同じように“エリア”が一つの扉の前で足を止めました。
そして、あの時と同じように扉をノックしました。
やはり、中からは何も聞こえてきませんでしたが、“エリア”は扉を開き、
ジュナとミーメに中に入るように促しました。
ジュナとミーメは中に入り、廊下に立っている“エリア”に会釈をしました。
“エリア”が扉を閉めると、ジュナとミーメは決心したように部屋の奥へと
進んで行きました。
ー“Ⅴ神様の答え3”へ続くー
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