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小さな羽根Ⅴ天使の苦悩7

(これは物語です)

『小さな羽根』


Ⅳ 天使の苦悩7


「ミーメは何処へ行ったのかしらね…」
「ジュナのことをお願いって言われたけど…」
「もう一度ジュナを治してもらえるように頼みに行くって…」
「また遠くに…?」
「ええ、またジュナが仕事をできるようにって…」
「ジュナは、そんなに仕事がしたいのかなぁ…?」
「みんなと一緒に仕事ができていたから、ジュナは痛みも我慢てきたって、
ミーメが言ってたわ」 
「ジュナは…?、どうしてるんだ…?」
「今は…、静かにしているわ、まるで力を貯えているみたい…」
「きっとジュナはちゃんと解っているのよ、ミーメが何処へ行っているのかを…」
「そうか~、ジュナもミーメも凄いよなぁ」
「そうよね」

ミーメは、ジュナと一緒だった時のように、金色の光の中を抜け、
銀色の光の中を抜け、遠く遠く飛び続けていました。
やがて、青い空と緑と土の大地が見えてきました。
ミーメは、あの時と同じように緑と土の大地に降り立ち、ジュナと一緒に歩いた
大地を、一人、ずっとずっと歩いて行きました。
懐かしい家の前に辿り着きました。
ジュナがやっていたようにノックをすると、あの日と同じように、
『名前のない天使』が出てきてくれました。

「ミーメさん!」
「お久しぶりです」
「お元気ですか…?、ジュナさんは…?」
「それが…、今日は、ジュナのことで伺いました」
「そうですか…、とにかく、中に入って下さい」
「ありがとうございます」
「さぁ…、どうぞ」

ミーメと“天使”はテーブルに向かい合って座りました。

「話して下さい」
「ええ…」

ミーメは、あの日二人で仲間たちのところに帰って行ったあとのことを話しました。
仲間たちがジュナの美しさに驚き憧れてくれたこと、彼は仲間たちと
同じ仕事をできるようになり、仲間たちより速く飛べるようにもなって、
みんなに頼られるようになったこと、みんなの仕事まで引き受けるほどに
なっていたこと、そして、仕事が終わったあとは、みんなと遠くに遊びに行き、
遅くなるまで帰らない日もよくあったことを…。

“天使”は、そこまでの話を聞くと小さく息を吐きました。
ミーメは話を止め、“天使”を見つめました。。

「ごめんなさいね、お話を止めてしまって…」
「いいえ…」
「たくさん話して下さって…、喉がかわいたでしょう…」

“天使”は、飲み物の入ったカップをミーメの前に置いてくれました。
ミーメはお礼を言って、カップの飲み物を少し飲み、もう一度、
向かい合っている“天使”を見つめました。


ー“Ⅳ天使の苦悩8”へ続くー









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