『小さな羽根』
Ⅳ 天使の苦悩8
「あなたのお陰で私たちは幸せでした…、とても…」
「よかったです、あなたとジュナさんが幸せな時間を過ごすことができて…」
「神様に今の自分たちの姿が見えているのなら、見て頂きたいって
彼は言っていました」
「そうですか…」
「ええ…、あの日までは…、私も彼もそう思っていました…」
ミーメが今度は、ジュナが背中の痛みを訴え始めた日のことから話し始めました。
ジュナの痛みは一晩休んでも治まらず、次の日も、また次の日も彼は痛みを
我慢して仲間たちと一緒に仕事をし続けていたと、その痛みが日に日に強く
なっていることは自分が見ていて明らかで、彼がどうにかなってしまうのでは
ないかと心配で、仕事を休んでくれるように頼んだけれど、いくら頼んでも
彼は聞き入れてはくれず、仲間たちと一緒に仕事をし続けていたと…。
そして、とうとう、彼は痛みに耐えられなくなり倒れてしまい、その時に初めて、
彼の右の羽根の根元のところが赤く腫れ上がっていることに自分は気づいたのだ
ということまで、息もつかずに話し続けました。
“天使は”、ミーメの話が一段落すると、カップの飲み物を新しい物に入れ
替えてくれました。
ミーメは、“天使”にお礼を言って、その飲み物を一口飲みました。
ー“Ⅳ天使の苦悩9”へ続くー
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