(これは物語です)
『小さな羽根』
Ⅳ 天使の苦悩4
「おい、ジュナ、仕事が終わったら、あの雲の向こうまで行こう」
「ああ、行こう」
「ジュナったら、またミーメを待たせるの…?」
「そんなに遅くはならないよ」
「早く帰ってあげてね」
「ああ、わかってるよ」
「本当ね…?!」
「大丈夫、ミーメはちゃんと待っていてくれるよ」
ジュナは仕事が終わったあと、仲間たちと遠くまで行って、
夜遅くまで帰ってこないことがありました。
雲の向かうに行ってみたり、雲を追い越すにはどれだけ速く飛べばいいのか
やってみたり、どれだけ高く飛べばお目当ての星が捕まえられるのか試して
みたり、仲間たちと一緒にそんなことをしていました。
「ミーメ、ジュナはまだ帰ってこないの…?」
「ええ、お腹がすけば帰ってくるでしょう」
「だって、あなた、ずっと待っているのに…」
「心配してくれてありがとう、大丈夫よ」
「でも、…!」
「平気よ、ジュナは、ずっと仲間と遅くまで遊ぶなんてできなかったのよ、
やっと、今、それができるようになったのよ」
「でも、あなただってジュナのために頑張ってきたんでしょ…」
「それは…、ジュナのためだけじゃないのよ」
「えっ…?」
「私は、ジュナの笑顔を見ていたかったの、それが私の幸せなの、だから、
そのために頑張ってきたの、私の幸せのために…!」
「あなた、本当にジュナのこと愛しているのね」
「彼がとても楽しそうな笑顔で帰ってくるのが嬉しいのよ」
「そうなのね、何だかちょっと羨ましいわね」
「ありがとう、でも…、時々は、淋しい時もあるわ」
「そうよね、だってあなたたち前はいつも一緒だったものね」
「ええ…、そうね…」
ー“Ⅳ天使の苦悩5”へ続くー
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