『小さな羽根』
Ⅳ 天使の苦悩6
「ジュナはどう…?、あんなに腫れ上がっていたんだから、痛かったでしょうね、
ジュナ、よく我慢してたわね」
「みんなと同じ仕事ができるようになって、みんなに頼ってもらって嬉しかったのよ」
「だから我慢ができたのね、見ていたあなたも辛かったでしょう…」
「ええ、でも、私は…」
「もう、無理させちゃダメよ」
「えっ…?」
「だって、造ってもらった羽根でしょ、ジュナの羽根」
「だけどね…」
「ジュナはよく頑張ったわよ、もう、ゆっくりさせてあげてね」
「でも…、それじゃあ…」
「大丈夫よ!、これからはジュナの分もみんなで頑張るから!」
「でも…、あのね「もちろん、あなたも仕事のことは気にしないでね!」
「仕事は僕たちで頑張るから、ジュナは無理しなくていいよ!」
「ああ…、ありがとう…」
「ジュナには今まで助けてもらったからね!」
「ああ…」
「だから、これからは僕たちで頑張るよ!」
「えっ…?」
「大丈夫だよ!、安心して!」
仲間たちは、ジュナとミーメに優しさや励ましのつもりで声を掛けてくれました。
でも、こんな仲間たちの言葉は、ジュナとミーメの心を優しく静かに傷つけ、
追い込んでいきました。
「ミーメ、僕は、異物の痛みに負けてしまったよ…」
「いいえ、あなたは、とても頑張っていたわ」
「でも、こうして寝込むことになった…」
「仕方ないわ、こんなに腫れ上がっているんだもの」
「でも…、これが新たな痛みなら…、僕は…」
「あなたはよく我慢したわ!、みんなだって…!」
「みんなは、僕にはもう仕事は無理だと思ってる!」
「そう…、かしら…」
「君だって、不安に思っているんじゃないか…?」
ジュナの言葉で、また不安に支配されそうになっている自分の心に気づき、
ミーメは、はっとしました。
ミーメは、いつのまにか眠ってしまっているジュナのことを優しく見つめました。
ミーメのその瞳には、また、強い光が宿っていました。
ー“Ⅳ天使の苦悩7”へ続くー
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