(これは物語です)
『小さな羽根』
Ⅳ 天使の苦悩2
「ジュナ、もう帰ってきたのか」
「ああ」
「お前がいてくれると助かるよ、仕事が早く終わって」
「ああ、ありがとう」
「ジュナ、魂たちは、一つ一つ大切に連れて行ってあげなきゃね」
「ああ、解ってるよ、ミーメ」
「ゆっくり…、静かにね」
ジュナは、仲間たちと同じ大人の魂を抱いて“エデン”に連れて行く仕事ができるように
なりました。
仲間たちより速く飛べるようになって、仲間たちよりたくさんの魂を“エデン”まで
連れて行けるようにもなったのです。
仲間たちは、そんなジュナの変わりように驚いていました。
そして、いつのまにか、ジュナを頼るようにもなっていきました。
仲間たちに『お前が行ってくれると早いから』と仕事を頼まれても、ジュナは、
嫌な顔をせずに引き受けました。
「ねえジュナ、神様はあなたがもう、仲間たちと同じ仕事をしていることを
ご存知なのかしら…?」
「ああ、きっとご存知だよ」
「じゃあ、あなたが仲間の分の仕事も引き受けていることも…?」
「ああ、きっとご存知だよ」
「ジュナ、あなた、何で仲間の仕事まで引き受けているの…?」
「幸せだからだよ」
「えっ…、どういうこと…?」
「僕は、今まではできなかったことができるようになって、それで仲間たちが
喜んでくれる!、それがとても幸せなんだ、だから…!」
「そうなのね」
「神様にも、この幸せな姿を見てほしいんだ」
「ええ…」
「造りものの羽根でも幸せな僕のこの姿を…」
「ええ!」
「僕は本当の僕の姿になれたんだから!」
「そうね、解ったわ、でも無理はしないでね」
「ああ、ありがとう!」
ー“Ⅳ天使の苦悩3”へ続くー
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