(これは物語です)
『小さな羽根』
Ⅳ 天使の苦悩1
「ねえ、ジュナを見た…?、とても素敵ね」
「あの羽根はどういうことだ…?」
「ジュナもミーメも治してもらったとしか教えてくれなかったわ」
「何でだよ」
「さぁ…、でも、ミーメがうらやましいわ」
「何があったのかなぁ…」
ジュナに対する仲間たちの視線は、明らかにそれまでとは違っていました。
憧れ…、仲間たちの視線はそれで満たされていました。
金髪に美しく大きな二つの羽根は、整ったその顔立ちを一層引き立てるものに
なっていました。ジュナのその姿は、本当に息を飲むほど美しいものでした。
ジュナが何故そんな姿になれたのか、それを聞いてくる者もいましたが、
ジュナもミーメもそのことは話しませんでした。
ジュナたちが暮らしている“ここ”では、何処までもずっと続いている
真っ白い“フワフワ”の雲の上でみんな一緒に暮らしていました。
気の合う者や愛し合う者がいつも隣り合っていたり、一緒に食事をしていたり、
眠っていたり…、みんな一緒に過ごしていました。“ここ”に暮らす天使たちは、
みんながみんなのことをよく知っていました。
ジュナとミーメの幸せな姿も仲間たちは、よく知っていました。
「神様は、ご存知なのかしら、『名前のない天使』のことも…、私たちのことも…」
「ああ…、きっと、ご存知だよ」
「私たちが今、とっても幸せなことも…?」
「ああ…、きっと、ご存知だよ、僕たちが今、幸せなことも…」
ー“Ⅳ天使の苦悩2”へ続くー
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