『小さな羽根』
Ⅲ 名前のない天使9
「ミーメ…」
「ジュナ…、大丈夫…?」
「うん…、まだちょっと傷口が痛むかな…」
「そうなの…?」
「でも、もう大丈夫、君の顔見られたから!」
「まあ、ジュナったら!」
ジュナの右の背中の羽根は、左の羽根と同じように大きく美しくなっていました。
ジュナと話ができたことと、美しい羽根に安心したミーメは、静かに様子を見守っていた“天使”を振り返りました。
「ありがとうございました、彼を救って頂いて」
「いいえ、私は、彼を“彼の望む姿”にしてさしあげただけです、
神様がして下さらなかったことを…」
「ええ…」
「ミーメさん、今日からは、この部屋でジュナさんと一緒に過ごしてあげて下さい、
私はあちらの部屋にいますので、何かあればお知らせ下さい」
ジュナとミーナはその日から、白い雲のような“フワフワ”が敷きつめられた“その部屋”で過ごしました。
ジュナとミーメは“フワリ”と寝転び、話をしたり、笑い合ったり、食事をしたり、緑の中を散歩したり…。
ジュナとミーメの間には、穏やかで優しい時間が流れていました。
「ジュナ、その羽根よく似合っているわ!」
「ありがとう!」
「今のあなたの笑顔が、私、とても幸せよ」
「ああ、僕も幸せだよ、ミーメ、ありがとう!」
「私こそありがとうジュナ…、こんなに幸せな気持ちにさせてくれて!」
「これで、もう、仲間にもバカにされない、君のこともちゃんと守って
あげられる…!」
「みんなきっとびっくりするわ!」
「そうだね!」
「ああ…、とても素敵よ、ジュナ!」
「ありがとう、君だって。とても美しいよ、ミーメ!」
「ありがとう、私、ずっとずっとあなたの側にいるわ!」
「僕もだよ、ミーメ…!」
ー“Ⅲ 名前のない天使10”へ続くー
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