(これは物語です)
『小さな羽根』
Ⅱ 天使の願い9
「ジュナ…、大丈夫…?」
「ああ…」
「帰りましょう…」
「ああ…」
「ジュナ…、飛べる…?」
「ミーメ、神様は何故、僕のような者をお造りになったんだろう…?」
ジュナとミーメは、神様に願いを聞き入れてもらえないまま金色の光の中を
帰って行くことになりました。
くる時にはミーメと手を繋いで飛べていたジュナが、今は、もう、ミーメに
抱えられるようにしか飛べなくなってしまいました。
ジュナの瞳からは、輝きも力もすっかり失われていました。
『彼は、いったい、どうなってしまうの…?』
ミーメの心は不安でいっぱいになっていました。
神様は考えていました。
『私は確かに、持って生まれたものを変えることを禁じている、
そのために、ジュナと同じように命をかけた願いを叶えてやれなかった
者もたくさんいた…、その願いを叶えてやるべきだったのだろうか…?、
そうすれば彼らは苦しみから救われることになったのだろうか…?、
ジュナ…、お前の言う本当の自分の姿とはなんだ…?』
『ミーメ、その願いを叶えてやることで、お前をも救えることになったのだろか…?』
神様は、その答えを出せずにいました。
ー“Ⅱ天使の願い10”へ続くー
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