(これは物語です)
『小さな羽根』
Ⅱ 天使の願い8
「体に異物をつけるということは、また、新たな痛みや苦しみを背負うことになる…」
「新たな痛み…?、苦しみ…?、大丈夫です!、今までの苦しみに比べたら…、
僕は耐えられます!」
ミーメもジュナの言葉に助け舟を出すように、神様にもう一度願いました。
「私は、彼のことを愛しています…、だからこそ、今の彼の苦しみを見ているのが
辛いのです、彼を今の苦しみからお救い下さい…」
「だがな、ジュナ…、ミーメ…、そうすることで今までよりも大きな苦しみを
背負うことにもなりかねない…、今までよりもたくさんの涙を流すことにも…」
「ああ…、神様…!」
「さぁ…、ジュナ…、ミーメ…、もう、帰りなさい…」
「神様…!」
「私は、持って生まれたものを変えることは禁じている…」
ジュナとミーメは、神様に促され部屋を出ました。
この部屋に案内してくれた“エリア”が廊下を歩いていたジュナとミーメを迎えに
きてくれました。
“エリア”は、最初に出会った時と同じ優しい微笑みで、出会った時と同じく
小さな会釈をしてくれました。
ジュナとミーメは、きた時とは全く違う気持ちで、黙って〝エリア〟の後を
ついて行きました。
“エリア”は、最初に出会った時と同じ門の前までくると、また、優しく、
微笑んで、会釈をしました。
「それでは…、また…」
“エリア”は、小さく丁寧に挨拶をしてくれました。
ー“Ⅱ天使の願い9”へ続くー
PR