(これは物語です)
『百恵ちゃんとミラーマン』
ちびちゃんは、百恵ちゃんが大好きでした。
あの素敵な山口百恵ちゃんです。
夜の時間に放送していた百恵ちゃん主演のドラマが最終回を迎えてしまったのです。
それまでも百恵ちゃん主演の同じシリーズのドラマが何作か続いていましたが、
ちびちゃんは、百恵ちゃんがちびちゃんと同じ車椅子の少女の役を演じている
そのドラマが一番好きでした。
だから、そのドラマが最終回を迎えた時は、それまでのドラマ以上に寂しい気持ち
でいっぱいになりました。
『あ~あ…、終わっちゃった…』
ある日、ちびちゃんはそのドラマが再放送されることを知りました。ちびちゃんは、
天にも昇りそうなほどの気持ちになりました。
『やったー!、絶対見なくちゃ!』
今日の夕方から百恵ちゃんのドラマの再放送が始まります。
『あっ、もうすぐ百恵ちゃん始まる!』
ちびちゃんはよつばいでテレビのある部屋に行きました。
すると、テレビの前には下の妹がちょこんと座っていました。
「チャンネルかえて」
ちびちゃんが言うと、妹は応えました。
「ダメ」
「何で…?」
「今からミラーマン見るもん!」
「えー、ミラーマン…?」
「うん!」
「今から百恵ちゃんのドラマ見たいんだけど…」
「だって、みーちゃんが先にここにいたもん、ミラーマン見るの」
「百恵ちゃん見せて!」
「ダメ、ミラーマン!」
妹は、“絶対に動かないぞ”と言うように、“ドガっ”とテレビの前に座って
ミラーマンが始まるのを待っていました。
「ねぇ、百恵ちゃん見せて!」
「ダメ!、ミラーマン見る!」
「百恵ちゃん!」
「ミラーマン!」
言い合っているミ“ラーマン”が始まりました。
『あ~、もう、百恵ちゃん始まる~!』
“ガブッ”
「痛っ!」
ちびちゃんは、ミラーマンを見ている小さな妹のお尻にかじりつきました。
“ひどーい”そんな声が聞こえて来そうですよね。
それから…、お尻にかじりつかれた妹は、泣きながらお母さんの所に行き、
ちびちゃんは、その間にチャンネルをかえて、再放送の百恵ちゃんのドラマ
を見ていました。
もちろん、そんなちびちゃんは、お母さんに怒られました。
-おわり-
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