(これは物語です)
『おやすみの時間』
ちびちゃんは、家族と離れて、ちびちゃんと同じように立って歩くことが
できなかったりするお友達と学校の寄宿舎で暮らしていました。
ちびちゃんより大きなお兄ちゃんやお姉ちゃんもたくさん暮らしていて、
ちびちゃんをとても可愛がってくれていました。
小学生のちびちゃんは、もうおやすみの時間です。
パジャマに着替えたちびちゃんは、先生におトイレに連れて行ってもらいます。
自分でオシッコをする練習をしているちびちゃんは、いつも寄宿舎にある
おトイレではなく、ちびちゃんがよつばいで動けるように造られている学校
にあるおトイレまで寄宿舎の先生連れて行ってもらっていました。
部屋を出て、廊下を進んで、学校に続くスロープを真っ暗な学校に向かって
上って行くのです。
スロープの所に行くまでに寄宿舎には大きな食堂があります。
いつもちびちゃんもご飯を食べたりしている食堂です。
だけど、この時間の食堂は、ちびちゃんには何だかちょっと違って見える
のです。
小学生のちびちゃんはおやすみの時間だけど、中学生や高校生のお兄ちゃん
やお姉ちゃんは、この食堂でコーヒータイムです。
お兄ちゃんやお姉ちゃんは、自分たちで持ち寄ったコーヒーや紅茶を飲んだ
り、お菓子を食べたりして楽しそうにおしゃべりしています。
『いいな~』
横目で見て通り過ぎるちびちゃんには夢の世界です。
少し時間をかけておトイレを済まして、スロープを下って、灯りのついた
寄宿舎に戻ってきました。
また食堂の前を通りかかった時、車椅子を押してくれていた先生が言って
くれました。
「ちょっと寄って行こか」
「えっ、いいん…?」
「うん、特別、ちょっとだけな」
「うん!」
ちびちゃんは、夢の世界に入りました。
『わぁ~!』
ちびちゃんが嬉しくてドキドキしていると、いつも可愛がってくれている
お姉ちゃんが声をかけてくれました。
「あれ、ちびちゃん、どうしたん…?」
「今日はな、特別やねん!」
後ろの先生が言ってくれました。
「そうか!、じゃあ、特別な紅茶入れてあげるな」
お姉ちゃんは甘い紅茶とお菓子を持ってきてくれました。
「はい、特別なお菓子も!」
「ありがとう!」
「おいしいやろ!」
「うん!」
「特別やからな!」
「よかったな、ちびちゃん」
「うん!」
「ちびちゃんももう少しお姉さんになったら、コーヒータイムデビューが
できるしな」
「うん!」
「ちびちゃんも優しいお姉ちゃんになってな」
「うん!」
『先生は私がコーヒータイムに行きたいって知ってたのかなぁ…?』
ちびちゃんは暖かいお布団を鼻先までかぶって、お姉ちゃんにもらった
甘いお菓子と紅茶の味を思い出しながら思っていました。
-おわり-
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