(これは物語です)
『おみやげ』
ちびちゃんは、家族と離れて、ちびちゃんと同じように立って歩くことが
できなかったりするお友達と学校の寄宿舎で暮らしていました。
そこでは、お兄ちゃんやお姉ちゃんもたくさん暮らしていました。
寄宿舎からお家に帰る日、お父さんのお迎えを待っていたちびちゃんに
お姉ちゃんが、キャンディにクッキーにクラッカー…!、お菓子を少し
づつ分けてくれました。
「ありがとう!」
お姉ちゃんにお礼を言ってお菓子を食べようとしてちびちゃんは、
いいことを思いつきました。
『そうだ!、妹たちにも持って帰ってあげよう!』
ちびちゃんは、お姉ちゃんにお願いしてお菓子を三つに分けてもらって、
一つずつティッシュに包んでもらいました。
「妹さんたち、きっと喜ばはるよ!」
「ほんまに…!」
「うん、ちびちゃんのおみやげやもん!」
ちびちゃんは、お姉ちゃんが言ってくれた“おみやげ”にとてもワクワクして
嬉しくなりました。
『私がおみやげを持って帰ってあげられるんや!』
お父さんがお迎えに来て、ちびちゃんは三つの小さなおみやげを持って
ワクワクお家に帰りました。
帰り道もちびちゃんは、おみやげのことで頭がいっぱいでした。
『妹たちは喜んでくれるかなぁ…?』
お家に着いて、いよいよおみやげを妹たちにあげました。
「ありがとう!」
妹たちは、ちびちゃんのおみやげを受け取ってくれました。
『喜んでくれてるかなぁ…?』
ちびちゃんが思っていると、ちびちゃんが妹たちにおみやげを渡す所を
見ていたお母さんがポツリと言いました。
「あら、うちでお菓子たべさせてないみたいやん、こんなの持って帰って
きて…」
『な~んだ…』
ちびちゃんのワクワクは、スーッと消えていきました。
『妹たちも私のおみやげなんかいらなかったのかなぁ…』
代わりにちびちゃんの心には、何となく、淋しさが入ってきました。
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