(これは物語です)
『お菓子ばこ』
ちびちゃんは、家族と離れて、ちびちゃんと同じように立って歩くこと
ができなかったりするお友達と学校の寄宿舎で暮らしていました。
「お菓子ばこ作らへん…?」
ちびちゃんが寄宿舎からお家へ帰っていた夏休み、ちびちゃんと双子の
妹が、ちびちゃんと小さい妹に言いました。
「もらったり買ったりしたお菓子、このはこの中に貯めるねん」
妹は、はこが赤い色でフタが黒い色をしたカッコイイはこを二人に見せました。
二人も賛成して“お菓子ばこ”は誕生しました。
色々なお菓子が入った“お菓子ばこ”は、大人たちに見つからないように、
子供部屋の一番高い棚の上に置かれていました。
三人は、晩ごはんが終わるとワクワクして子供部屋に行きました。
「今日はどれにする…?」
双子の妹が言うと
「これがいい!」
小さい妹が言いました。
「これは、昨日入れたばっかりやから、もったいないやん」
双子の妹が言いました。
「これは…?」
小さな妹がもう一度言いました。
「これは、もうちょっとしかないからもったいないやん」
また、双子の妹が言いました。
「じゃあ、どれにする…?」
ちびちゃんがゆっくり言いました。
「ん~、これにしよか!」
双子の妹が決心したように言いました。
「それにしよ!」
毎晩のように子供部屋では、お菓子会議が開かれました。
三人で楽しくお菓子を食べると、双子の妹が椅子に乗って“お菓子ばこ”
を棚の上に戻しました。
その日、双子の妹も小さい妹も遊びに行って家にいませんでした。
ちびちゃんが子供部屋にいると、お父さんとお母さんが入って来ました。
「あそこが気になるねん…」
お母さんが“お菓子ばこ”の置いてある棚の上を指差してお父さんに
言いました。
「ここか…?」
お父さんが棚の上を見ました。
『見つかる!』
何も言えず、ドキドキして見ていたちびちゃんが思った時、
お父さんが赤と黒のはこをつかんでお母さんに渡しました。
『あ~あ、見つかった…』
ちびちゃんの体の中から力が抜けていきました。
「毎晩、ごはん食べたら三人で部屋にこもってるから何かと思てたら、
これやったんや」
お母さんが“お菓子ばこ”のふたを開けて言いました。
「たくさんあるな~」
お父さんが言いました。
「ずっと、そこに何かあるて思てたけど…!」
「もうわかったし、そっとしといてやったら…?」
「あげたおやつは、この中に入ってたんやな」
お母さんはちびちゃんを見てそう言うと“お菓子ばこ”のふたを閉めて
お父さんに渡しました。
お父さんがそれを棚の上に戻しました。
子供部屋のお菓子会議は続きました。
夏休みも終わってちびちゃんも寄宿舎に帰り…、時間がたくさん
経って…、”お菓子ばこ”はその後どうなったのでしょう…?
-おわり-
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