(これは物語です)
『ちっちゃな手』
ちびちゃんは家族と離れて、ちびちゃんと同じように立って歩くことが
できなかったりするお友達と一緒に園で暮らしていました。
おやつの時間です。
園でのおやつは、大きなお盆に小さなクラッカーやビスケットが
広げられて、ちびちゃんたちはそれを自分の手で一回だけつかみ、
つかめたクラッカーやビスケットがその日の自分のおやつになるのです。
でも、ちびちゃんはいつもちょっとしかつかめませんでした。
お友達はいつもちびちゃんよりもたくさんおやつをつかんでいます。
『なんでだろうなぁ…?』
ちびちゃんは、自分のおやつを見ていつも思っていました。
「上からつかむんじゃなくてね、こうやって下からすくうようにして…」
ある日のおやつ時間、ちびちゃんがいつものようにおやつをつかもうと
おやつが広げられているお盆に手を入れた時、いつもちびちゃんに
優しくしてくれている看護婦さんがちっちゃな手にそっと自分の手を
添えて言ってくれました。
ちびちゃんは、看護婦さんが教えてくれたみたいにやってみましたが、
あまり上手くはできませんでした。
「ちびちゃんの手、ちっちゃいからつかんでも、指の間からこぼれ
ちゃうよね…、いつもおやつ少ないもんね…」
看護婦さんはそう言いながら、みんなに見えないようにちびちゃんの
つかんだおやつの上にもう少しおやつをのせてくれました。
「また練習しようね!」
「うん!」
ちびちゃんは、いつもよりもちょっとたくさんのおやつを前にして、
ニコニコ嬉しそうに応えました。
-おわり-
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