(これは物語です)
『キラキラ』
ちびちゃんの家族はお父さんとお母さんとちびちゃんと同じ歳の妹です。
でも、ちびちゃんは、家族と一緒にお家で暮らしていませんでした。
ちっちゃいちびちゃんは家族と離れて、ちびちゃんと同じように立って
歩くことができなかったりするお友達と一緒に園で暮らしていました。
ちびちゃんには、とても楽しみにしていることがありました。
その1つは月に一度やってくる面会の日、ちびちゃんは朝から待ち遠しくて
なりません。その時間になると、ちびちゃんたちがいる部屋に
『パタパタパタパタッ』とたくさんのスリッパの足音が聞こえてきます。
「あっ、きた!」
その足音はだんだん近づいてきます。そして、ちびちゃんたちがいる部屋に
入ってきます。ちびちゃんは、たくさんのお母さんたちの中から、
ちびちゃんのお母さんとお父さん、妹を探すのです。そうしているうちに、
お母さんや妹がちびちゃんの姿を見つけて近づいてきてくれる時もありました。
ちびちゃんのとても嬉しい時間でした。
でも、そんな時間はすぐに終わってしまいます。
「じゃあね、また、くるからね」
時間がくるとお母さんたちはそう言って、外に繋がる階段を降りて行きます。
ちびちゃんはいつもその階段の扉の所までお母さんたちと一緒に
行っていました。でも、ちびちゃんは、扉の前までしか行けませんでした。
階段を降りて行くのは、お母さん、お父さんそれに妹だけ…。
ちびちゃんは、階段の上の扉の前で消えて行く家族を見ていました。
階段の前の小さな扉には赤や黄色の綺麗な色のガラスが
はめ込まれていて、それが光に反射してキラキラしていました。
ちびちゃんは、家族が帰ってしまった後、その“キラキラ”を
見つめて『なんで、私は、帰れないのかなぁ…?』
ちっちゃな心で考えていました。
-おわり-
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