(これは物語です)
「1.わんこ」 -4.いのちって・・・?4-
ぼくは、鼻先が「つんっ」としたままちょっと考えた。
考えて・・・、ぼくのそばで、また体を伸ばしている大きなわんこに
また聞いてみた。
「ねぇ・・・いのちって、どこにあるの・・・?」
大きなわんこは、またゆっくり大きな声でお話してくれた。
「そうじゃな・・・体の中じゃよ・・・」
「ふーん」
「小さな花の中にもちゃんとあるんじゃ」
大きなわんこは、ぼくの下にいたきみを見た。
「いのちってなに・・・?」
「うーん・・・そうじゃな・・・」
「ぼく、わかる・・・?」
大きなわんこは、ちょっと黙って、いつのまにか出てた
お星さまを見上げてから、ゆっくり大きな声でお話してくれた。
「楽しい・・・、悲しい・・・、寂しい・・・、嬉しい・・・、そうじゃな・・・
体の中から出てくるそれが命なんじゃよ!」
「ふーん、楽しいって・・・?悲しいって・・・?」
「わしをけとばしそうに走っとったあの時、楽しそうじゃがな・・・」
「そーかー!ぼく、あの丘に走ってると、なんだか体が「ふわっ」となって、
鼻先だって「くすっ」としてた・・・」
「そうじゃよ、そんなふうに体から溢れるもんが、みんな命なんじゃよ」
「じゃあ、ぼくが抜いちゃったせいで大好きなこすもすさんがゆらゆら
揺れてくれなくなっちゃって、体がなんか「ずんっ」となって、
鼻先だって「つんっ」としたのは・・・?なに・・・?
「うーん。それはきっと、悲しい・・・寂しい・・・なんじゃな」
「そっか、あの「くすっ」としたり、「ふわっ」としたり、「ずんっ」としたり、
「あれ」がぜーんぶいのちなんだね」
「そうじゃな」
大好きなわんこは、ふーっと息をはいて背伸びした。
-“大好き9”へ続く-
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