(これは物語です)
「1.わんこ」
ー5.ずっと…。ー
こすもすをそっとくわえてぼくは歩いた。
ぼくは歩いて、そこで歩くのをやめた。
ぼくの目の前の原っぱにいっぱいのこすもすが優しく揺れてた。
「ここならきみはひとりぼっちじゃないね」
ぼくは、こすもすをそっとそっと草の上に置いて、鼻先をくっつけた。
「あのね、ぼくももう、ひとりぼっちじゃないよ」
いっぱいのこすもすが嬉しそうに優しく揺れてくれてた。
「ねぇ、ありがと、みんなでいっぱいお話できるね」
ぼくは、また、鼻先が『くすっ』ってして、体が『ふわっ』ってした。
そんなぼくをきみが嬉しそうに優しく見つめてくれてる気がしたんだ。
「きみのいるここにまたお話しにくるからね」
ぼくは、今度はひとりで歩きだした。
「またね・・・」
少し冷たくなってきた風と一緒に小さく聞こえた気がした
「うん、またね」
歩き出していたぼくは、もう一度歩くのをやめて原っぱの方を振り返った。
「これからもいっぱいいっぱいお話しようね、ずっと…。
ー“大好き11”へ続くー
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