忍者ブログ

カレンダー

04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31

リンク

カテゴリー

フリーエリア

最新CM

最新記事

プロフィール

HN:
No Name Ninja
性別:
非公開

バーコード

RSS

ブログ内検索

アーカイブ

最古記事

P R

[7]  [8]  [9]  [10]  [11]  [12]  [13]  [14]  [15]  [16]  [17

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

小説 ほな、また1.出会いと変化1

(これは小説です)

『ほな、また』

1.出会いと変化1

最近、アイツの夢をよく見る『何であんなことしたんやろう…?』
まだ後悔が残っていることを思い知らされる。

アイツに最初に出会ったのは、高等部に上がってすぐだった。
生まれた時から体に障害がある私は、車椅子で“養護学校”今で言う
“特別支援学校”に通っていた。
その頃の私は、学校に隣接する寄宿舎で暮らしていた。

「○○○○です、よろしくお願いします」
アイツの自己紹介を今でも鮮明に思い出せる。
『ふ~ん、マッチ棒みたい…』それがアイツの最初の印象だった。
短いスポーツ狩りに黒い学生服のアイツは、体に障害はないが、
人とのコミュニケーションが苦手で、学習するのが苦手だった。
その年から“養護学校”がそういう生きづらさを持った人達も受け入れる
ようになったらしい。
“そんな人達”が入学して来るということは聞いていたが、私には、
“そんな人達”への知識は全くなく、ただ、車椅子だらけの教室に
黒い学生服を着た普通に歩ける人達がワサワサいることに戸惑っていた。
男子が多いことにもちょっと戸惑っていた。

-“出会いと変化”2へ続く-










PR

僕のいもうと8

『僕のいもうと』8

二十歳を随分過ぎて私は、自宅で暮らすことになりました。
福祉用具を使ったり、家族に協力してもらいながら、生活で必要な動作の
大体のことは自分の力でこなせるようになっていました。
障害を持った人たちが介助を受けながら働くことのできる所に毎日通い、
仕事をしながら暮らしていました。
彼氏とデートしたり、友達とごはんを食べに行ったり、旅行に行ったり、
映画を見に行ったりして過ごせるようになっていました。

そんな私は、ある日、クラスメートの○○くんが亡くなったことを、
同じクラスメートの友達から聞きました。
「えっ…?」
私は、驚いて、握っていた電話を落としそうになりました。
「いつも散歩に行って道で電動車椅子ごと田んぼに落ちて、顔、
上げられへんかったみたいやって…、帰って来いひんからって、
お母さんが探しに行かはって見つけはったって聞いたけど…」

私は、○○くんのはにかんだような笑顔を思い出しました。
「僕あかんわ~」
○○くんの声聞こえた気がしました。
『卒業してからも言うてたんかなぁ…』

「そんなことないよ!」
お兄ちゃんの優しい声と笑顔が浮かんできました。
『お兄ちゃんは知ってるのかなぁ…?』

その後、お兄ちゃんが結婚したことを風のうわさで知りました。

あの日々は、今でも私の心を癒やしてくれます。

-僕のいもうと終わり-












僕のいもうと7

『僕のいもうと』7

学校を卒業した私は、体の不自由な人たちが、介護やリハビリを
受けながら生活する施設で暮らしていました。
施設に、他の施設の職員が研修に来られました。
二十歳を迎えていたのか、私は、研修生や実習生をうっとうしく
思っていました。

研修生の一人の女性が私の顔を見て、いきなり言いました。
「あなた、どこかで会った…?」
『何…?、下手なナンパみたい、会話のきっかけ…?』
私は、何も応えませんでした。
ところが、その女性は、何度も私に聞きました。
『もう、何…?、私、知らないんだけど…!』

実習が終わる前日、あの女性が笑顔で私に話しかけてきました。
「思い出しました、あなたのこと…!」
「●●くんが見せてくれた写真の子!」
それは、大好きなお兄ちゃんの名前でした。
「大きくなってたから、すぐには解らなくて…、私◎◎養護学校に勤めて
たんです」
お兄ちゃんが転校して行った学校でした。
「●●くんね、“可愛いやろ!、僕の妹やねん!”ってとても嬉しそうに
見せてくれたのよ!、写真の笑顔が印象に残ってて…、よかった
思い出して…、あなたに会えて…」

『お兄ちゃん、私のこと忘れないでいてくれたんだ!、ずっと妹って
思ってくれてたんだ』

-僕のいもうと8へ続く-










小説 僕のいもうと6

『僕のいもうと』6

とうとう、お兄ちゃんが転校する日が来てしまいました。
その日、お兄ちゃんは、私に“オレンジ色のくまのぬいぐるみ”を
プレゼントしてくれました。
「僕やと思って持っててや」
お兄ちゃんは、いつもと変わらない優しい笑顔で言ってくれました。
「可愛い!ありがとう!」
そう言った私は、我慢ができなくなって泣いてしまいました。
そばにいたお姉ちゃんたちも涙をたくさん流していました。
「仲良くしてくれてありがとう」
そう言ったお兄ちゃんの目からも涙が零れそうでした。
「○○くんと仲良くしてあげてな」
「うん」
「僕あかんわ~」
○○くんの言葉に、みんなちょっと笑顔になりました。

お兄ちゃんは転校してしまった後も、時々私に電話してくれました。
「風邪ひいてへんか…?」
「うん!、大丈夫!」
「泣いたりしてへんか…?」
「…」
「あんまり泣いたらあかんよ、強なりや!」
「うん!」
お兄ちゃんにもらった手紙を見ていると、寂しくなってやっぱり
ちょっと泣いてしまう私は、手紙をレターラックから箱に移し、
大切にしまいました。

中学生…、高校生…、私はそのまま寄宿舎でお姉ちゃんになり
、学校を、寄宿舎を卒業する日を迎えました。
「卒業せんといて!」
可愛がっていた子たちがそう言ってくれました。
「ありがとうね」
私は、お兄ちゃんもお姉ちゃんたちも巣立って行った寄宿舎から
の巣立ちの日迎えました。
やっぱり、涙でビショビショでした。

-僕のいもうと7へ続く-












小説 僕のいもうと5

『僕のいもうと』5

私は、大好きなお兄ちゃんが転校してしまうことを知りました。
「えっ、なんで…?」
びっくりしてお姉ちゃんたちに聞きました。
「家の区域の学校に通わなあかんようになったんやって、だからお兄ちゃんも
よその学校に行かなあかんようになったんやって…」
「もうこの学校にはいられへんの…?」
「うん…、そうやなぁ…」
私は、泣いてしまいました。
「悲しいよな、うちらも悲しいよ、だけど…、卒業する前にみんなとお別れせな
あかんお兄ちゃんが一番悲しいし寂しいと思うねん、だからな、お兄ちゃんの
前では、泣かんようにしよな、約束やで!」
「うん…!」

『泣いたらあかん…!』
私は、お兄ちゃんの顔を見て泣きそうになるのを一生懸命に我慢していました。

それまでと変わらず、みんなでトランポリンで遊んだり、散歩に行ったり、
買い物に行ったり、学校で勉強したり、ごはんを食べたり、お兄ちゃんと
手紙の交換をしたり…、時間は私たちの寂しい気持ちと、私の我慢と一緒に
当たり前に過ぎていきました。

-僕のいもうと6へ続く-












忍者ブログ [PR]

graphics by アンの小箱 * designed by Anne