(これは小説です)
朝、アイツのオセロの対戦を見守り、一緒に登校し、教科ごとに一緒に
教室を移動して、給食の時間に笑かされ、放課後は訓練室に送ってくれて、
訓練が終わる時間に迎えに来てくれて、一緒に寄宿舎に帰って…、
夕食後のそれぞれのグループ活動の後、一緒に“いつもの時間”を過ごして、
就寝時間になったら“おやすみ”を言ってそれぞれの部屋に戻って行くと
いう当たり前なった日常を過ごしているアイツと私に、“高等部卒業”が
近づいてきた。
小学部、中学部の卒業までは、学部は変わるけど、卒業後もそれまでと
同じように寄宿舎で過ごすことが出来た。
だけど…、高等部を卒業するということは、“この学校を巣立つことに
なるため、私達は、寄宿舎からも巣立つことになる。
小学部、中学部の思い出…、そして、アイツと出会ってからの3年間…、
高等部での思い出を持って、この学校を寄宿舎を離れるその日がもうすぐ
やって来る。
淋しくて…、“ちょっと待ってよ…!”とジタバタしても思っても、
その日に向かって進んでいる“時”は止まらない…。
“約束されている”その日は、確実に、もう、やって来る。
卒業後は、障害のある成人が介助をうけながら生活出来る“寮護施設”に
入所することが決まっている私は、今の日々と離れること、新しい
日々に入ることに不安を感じていた。
もちろん、アイツと離れることに一番の淋しさを感じていた。
-“ギターとみかん”2へ続く-
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