(これは小説です)
10.ミルクティーと後悔5
アイツと喫茶店で待ちあわせた。
「○○○のお金のこと…、ほんまはどうなん…?」
「…」
「謝れば、訴えられへんのやろ…?」
「聞いたん…?」
「うん、聞いた」
私は、ミルクティーを一口飲んでから言った。
「まあまあ…」
アイツはコーヒーを飲んで、椅子から立ち上がった。
「なあ、謝りや!」
アイツは私の言葉には応えず、あの頃のように帰って行った。
「ほな、また」
私は、何も聞けず、何も確かめられなかった。
“私には、アイツは応えてくれる”と思っていたのだろうか…?
“私は、あれもこれも出来たんやから…、何でも出来る!”
自分を奢っていたのだろう…!
あの日からアイツとは、連絡も取れなくなった。
「聞いたん…?」
アイツの寂しそうな顔が忘れられない…。
私は、アイツの“生き辛さ”さえ忘れてた。
「元気…?」
その一言も言えなかった私は、今も後悔している。
-“ほな、また”終わり-