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小説 その奥にあるもの2

『その奥にあるもの』2

『私は幸せやなぁ…!』
そんな心の奥に影のようなものが見えました。
「オオゲサ…?」
呟きながら、私は、その心の奥に現れたものを確かめに行くことに
しました。

「お肉食べたいなんて言わんかったらよかったかなぁ…」
呟きを道しるべに、私は自分の奥に進んで行きました。
『私は幸せやなぁ…!』
そんな思いで分厚くふたをされたその奥をじっと見つめてみました。
『私も障害がなければ…』
もうカビが生えて、奥の奥におきっぱなしになっていた“ソレ”が、真新しい
もののように視界に飛び込んで来ました。
『あれ…?』
“不思議”がヒョコっと顔を出しました。
『こんなところに…?』
“不思議”は、少し大きくなりました。
「まだあったんだ…!」
私は、少し大きな声で呟いていました。

-〝その奥にあるもの〟3へ続く-











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小説 その奥にあるもの1

(これは小説です)

『その奥にあるもの』1

今、彼がお肉を買いに行ってくれました。
ほんの1時間ほど前、私が車椅子の上で彼に呟きました。
「焼き肉食べたいな…」
「お肉、買って来よか!」
一緒に見ていたテレビ番組が終わったあと彼がそう言って、
バイクで出かけて行きました。
もう、すっかり夜に包まれた空からはたくさん雨が降っています。
きっと、視界が悪い中、カッパ着て、お肉を買うために走って
くれているのでしょう…。私のために…。
『私は幸せやなぁ…!』
ふんわりしたものが心に現れました。

テレビを見ながら、彼の帰りを待っていました。
20分ぐらい経った頃、今度は、少しの不安が心に現れました。
『大丈夫かなぁ…?、バイクすべらへんかなぁ…?』
その不安に向かって、私は呟きました。
「お肉食べたいなんて言わんかったらよかったかなぁ…」









詩 季節のあしあと

詩『季節のあしあと』

桜色が残る
アスファルトの道
川の水と土手
私のこころ

「きれいやな!」
笑顔で君と交わした言葉
風の匂いと優しい日差し

また巡りくるこの季節
また笑顔で出逢いたいな
もちろん君のとなりで

桜色が残る
アスファルトの道
川の水と土手
私のこころ






物語 少女の髪2

(これは物語です)

『少女の髪』2

少女だった私は、大人になりました。

20代後半を過ぎ、もう一度、家族と家で暮らすことを選びました。
しばらく練習をして、部屋の中でなら、着替えることも、トイレを
することも、車椅子への移動も、だいたいのことは一人できるように
なりました。
電動の車椅子を運転して、電車に乗って一人でおでかけができるよう
になりました。
髪は…、肩までの長さで、まっすぐにしたり、ウェーブにしたり…。
行きつけの美容室に予約を入れて、一人で出かけて行きました。
お母さんに「うっとうしいから…」と言われないように、自分で
カチューシャをはめたり、自分でムースなどを付けたり、自分で
とかしたりするだけでちゃんとして見えるようにしていました。
少女のころからの憧れの長い髪は、やっぱり、無理でした。

40代を間近にした私の体は、自分にしか解らないくらい少しづつ
動きにくくなっていました。
それでも、美容室には通い続け、カチューシャを付け、ウェーブを
かけたり、まっすぐにしたり…、でも、「長い髪は、また少し遠のい
たかな…」と思っていました。

40代に入ってすぐ、介護ヘルパーさんにきてもらって一人暮らし
を始めました。
ヘルパーさんの必要な時間や介護の内容を自分で考え、福祉の機関
に申請して介護の時間数をもらい、ヘルパー事業所と契約し、依頼
した時間にヘルパーさんがきてくれて、介護を受けて生活するよう
になりました。
それから間もなく、二次障害による頸椎症で、その体は、今までで
一番自分では動かせなくなりました。
何とかできていた髪をとかすことも、カチューシャやムースなどを
付けることも、自分ではできなくなりました。
「使いいたみですね」お医者さんには言われました。
髪は、また、肩よりも少し短くしました。

40代をもう少し過ぎ、二次障害の体で日々を過ごすことに少しづつ
慣れてきたころ、ふと思いました。
「髪の手入れもヘルパーさんにやってもらうなら、長い髪にすること
もできるよね!」短く切っていた髪を伸ばすことにしました。

伸ばし続けた髪は、背中の真ん中辺りまでになりました。
長い髪に憧れていた少女は、50代まで後少し…、ヘルパーさんに
介護してもらいながら、憧れ続けた長い髪で…、笑顔で
過ごしています。

幼い少女は、長い髪に憧れていました。






















-少女の髪終わり-



物語 少女の髪1

『少女の髪』1

幼い少女は、長い髪に憧れていました。

少女が今より幼いころは、お母さんが少女の長い髪をキレイに三つ編み
にするなど、おしゃれにしてくれていました。
だけど、お母さんと一緒じゃなくて施設で暮らすようになった少女の髪は、
男の子みたいに短く切られてしまいました。
少女は、車椅子で、誰かに介助してもらわなければ、着替えなど、日常の
殆どのことはできませんでした。
勿論、お風呂に入ることも髪を洗うことも、髪をとかすことも一人では
できませんでした。
施設には、少女みたいに車椅子や、まつばづえの子供がたくさんいて、
みんな施設の看護士さんに介助してもらいながら生活をしていました。
だから、一度に介助ができるように、みんな同じ短い髪でした。

少し大きくなった少女は、また家で暮らせることになりました。
お母さんは「この方がうっとうしくないでしょ!」と少し体も大きく
なった少女の髪を短く、キノコみたいにしてくれました。

もう少し大きくなった少女、今度は、少女みたいな子供の通う学校の寄宿舎
で暮らすことになりました。
小学生…、中学年…、自分でキレイに髪を手入れすることが難しかった
少女は、キノコみたいばかりではなかったけれど、短い髪のままでした。
高校生になった少女は、寄宿舎の先生に言ってみました。
「私、ポニーテールにしてみたいねん」先生は、「そうやな、もう高校生
やし、女の子やもんな」そう言ってくれました。
少女は、ポニーテールができるようになるまで髪を伸ばしました。
「うっとうしくない…?」そんなふうに言う先生もいましたが、少女は、
してみたかったポニーテールを楽しみました。
「せっかくだから、下ろしてもみたいなぁ…」だけど、少女がもっと
したい髪にするのは、難しいことでした。
寄宿舎から、家に帰省するうちに、「うっとうしいし、先生らに迷惑
かけるやろう…、この方がいいでしょう」お母さんの言葉で、卒業式
までには、少女の髪は短く戻っていました。

学校を卒業した少女は、今度は、自分で、家ではなく、介助してもらい
ながら暮らせる施設での暮らしを選びました。
ここでは、決まりはあるものの、学生さんや友達と外出することが
できたため、少女は髪を少し伸ばして、美容室に出かけて、色んな髪型
を楽しんでいました。
ただ、職員さんに髪を手入れしてもらうのは、暗黙の限界みたいなもの
があり、後は自分でできる範囲なら…、という感じでした。
だから美容室で、自分でカチューシャをつけるだけで可愛く見える髪型
とか、ピン止めを止めてもらうだけで大丈夫な髪型にしてもらって
いました。
入浴が終わると自分で、時間をかけてドライヤーをしていました。
でも、憧れている長い髪にするのはやっぱり難しいことでした。

-少女の髪2へ続く-












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