(これは物語です)
『手のひら』4
○○○から昨日と同じ社員の女性とヘルパーが再び私の家にやってきました。
「今日はあなたの外出時のデータを頂きます」
女性の声と笑顔は、今日も柔らかでした。
「今日もよろしくお願いします」
私が挨拶を済ましたところで、女性がコートも脱がずに言いました。
「すぐに出られますか…?」
「はい、大丈夫です」
様々な場面での車椅子の押し方、扱い方のデータをとりました。
高い段差や傾斜の下ろし方や上り方、様々な道の進み方や様々な交通機関
の利用のデータ、レストランなどに入って食事をしたり、お店で買い物を
したりのデータもとりました。
最後に病院にも行って簡単な治療を受け、今日のデータ収集を終えて私の
家に戻りました。
女性は、昨日からの全てのデータをパソコンに細かく入力していました。
「このデータをあなたに使って頂くヘルパーに登録致します」
「アンドロイドのですか…?」
「はい、そして後日私が、あなたのデータ登録が完了しましたヘルパーを
お届けにまいります」
「解りました」
「それから…、オプションを1つお申込み頂けるのですが…」
「えっ、オプションって…?」
「1日の支援時間の終了時、通常、ヘルパーは軽く会釈をさせて頂きます、
オプションをお申込み頂きますと、その動作を変更させて頂くことができ
ます、通常ですと追加の料金を頂くのですが、キャンペーン中の今でしたら、
こちらも料金は頂きません」
「そんなこともできるんですね」
「はい…、どうなさいますか…?」
「じゃあ申し込みます」
「解りました、では、“握手、頭ポン、ハグから”1つお選び下さい」
「じゃあ、“頭ポン”でお願いします」
私は、言葉の響きで選びました。
「解りました、では、オプションを設定させて頂きます」
「いつのお届けになるかは、早めにこちらからご連絡致します」
「はい、解りました、よろしくお願いします」
私は、○○○からの連絡を待つことになりました。
ー“手のひら5”へ続くー
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