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彼女のストーリー8そういえば…。

(これは物語です)

『そういえば…。』

彼女は、彼と2人で地下鉄に乗っていました。
目的地について電車を降りました。
彼に車椅子を押してもらって、エレベーターに向かっていると、聞き覚えの
ある声が聞こえて来ました。
「おはようございまーす」
少し言語障害のあるその声の主は、彼女と同じように電動車椅子に
乗っている男性の友達でした。
『あっ!』
彼女は、気づいて、ちょっとニコっとしました。

彼女と彼がエレベーターに乗って、彼が彼女の車椅子をドアの方に回転
させると、年配の女性が1人乗って来ました。

さっき会った友達がドアの前で手を振っています。
彼女はまた何となくニコっとして、ドアが閉まるのを待っていました。
ところが、ドアは中々閉まりません。
『あれっ…?』
彼女は、ボタンが並んでいる方を見ました。

彼女と彼の後からエレベーターに乗ってきた女性が“開く”のボタンを押していました。
『あ、そうか…!』
彼女は気づきました。
女性は、彼女の友達が乗ってくると思い、“開く”のボタンを押して
待ってくれているのでしょう…。
エレベーターの外にいる友達は、それに気づかずに、エレベーターの中の
彼女に手を振っているのでしょう…。

今、エレベーターには、電動車椅子の彼女と押してくれている彼と“開く”
のボタンを押して待ってくれている女性が乗っています。
『友達は、きっとこの中に乗るのは無理だと思って、ドアの前で手を
振っているのだろう』と彼女は思っていました。
だから、女性に“閉めてもらっても大丈夫です”と伝えようと
しましたが、自分が勝ってに言うのも…、という気がしました。

そこで彼女は、まだドアの前でニコニコ手を振っている友達にいきなり
声をかけてしまいました。
「乗って来れる…?」
友達は、少し驚いた様子でしたが、彼女の問いかけで、エレベーターの
中の事情に気づいてくれたみたいで、彼女に伝わりやすいように、
手で大きく“×”を作ってくれました。
それを見た彼女は、すぐに“開く”のボタンを押してくれている
女性に伝えました。
「あの…、閉めてもらっても大丈夫です」
女性も彼女と友達の様子を見て、事情を理解してくれたみたいで、
今度は、“閉める”のボタンを押してくれました。
ようやくエレベーターのドアは閉まりました。

『そう言えば…、何年会ってなかったかなぁ…?』
彼女は、ふと思いました。
『一緒に仕事してた頃みたいに何気なく…、だったけど…』
彼女は、何だかタイムスリップのような不思議な感覚になりました。


-おわり-







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