小説『僕のいもうと』1
随分歳を重ねた今でも、思い出すと心がふわっと幸せになります。
まだほんの子供だった私には、大好きなお兄ちゃんがいました。
小学生だった私とは歳の離れた高校生のお兄ちゃん。
お兄ちゃんは、カッコ良くて優しくて、私をとても可愛がってくれていました。
生まれた時から体に障害を持っている私は、ずっと車椅子で生活しています。
“歩けない”ということは、その頃の私にとっては、既に当たり前のことになって
いました。
私は障害を持った子供たちが通う学校に隣接する寄宿舎で生活していました。
家族と離れて生活することも、“歩けない”ということと同じくらい当たり前のこと
になっていました。
寄宿舎には、たくさんの先生もいるし、お兄ちゃんたちやお姉ちゃんたちも
可愛がってくれるし、大好きなお兄ちゃんもいるし…!
大好きなお兄ちゃんは、障害を持っていますが、片足を引きずりながらも走る
その姿は、私の眼には、とてもカッコ良く映っていました。
少し不自由なその手で抱き上げてくれたり、時には、おんぶだってしてくれたり…。
そんなお兄ちゃんの周りには、いつも、友達がたくさんいました。
もちろん、女の子にも人気がありました。
いつもお兄ちゃんと一緒に遊んでくれるお姉ちゃんもいて、そ
私をいつも優しく包んでくれていました。
-僕のいもうと2へ続く-
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