『小さな羽根』
Ⅰ 小さな羽根の天使6
「ジュナの羽根、大人になっても小さいままだよな…」
「確か、大人になったら大きくなるとか言ってたよな…」
「ジュナのウソだったんじゃないか…?」
「何で、そんなウソをついたんだ…?」
「そりゃ、ミーメによく思われたかったからだよ」
「ミーメの羽根だって、私たちより小さいわよね」
「やっぱり、ジュナがウソついてたのかしら…」
天使たちは、大人になりました。
ミーメは、長い赤毛の美しい天使になりました。
背中の羽根は、仲間の天使よりは少し小さかったのですが、ジュナが言った通り子供の頃より大きく美しくなりました。
ジュナも、ブロンドの髪をした、たくましく美しい天使に成長しました。
ジュナの左の羽根も、たくましく成長した体と共に大きく美しくなっていました。
ただ、右の羽根は小さいままでした。
体と左の羽根が大きくなり、右の羽根は一層小さく見えるようになってしまいました。
仲間たちは、子供の頃のようにジュナをからかったりはしませんでしたが、コソコソ陰口を言うようになりました。
-“Ⅰ小さな羽根の天使7”へ続く-
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