彼女のストーリー番外編2
『彼女の好きなもの6』
彼女には、好きなものがたくさんあります。
彼女は、いつも色んな時間を楽しんでいます。
食べ物 きゅうり
子供のころ彼女は、母親に何が食べたいかと聞かれるとよく「きゅうりの
塩もみ!」と答えて、彼女の好きなものを作って食べさせてやろうと聞いて
くれた母親をガッカリさせてしまいました。
だけど、その“彼女の好きなもの”の中にきゅうりはガッツリ入っていました。
彼女は、“きゅうりの塩もみ”を喜んで食べました。
皮のパリパリっとした食感と“きゅうり~”って感じの中身のみずみずしさが
彼女にはたまらないのです。
小学生の頃、養護学校(今の特別支援学校)の畑で作っていた、ちょっと形
が変で大きなきゅうりを高校生のお姉さんたちと一緒に塩をかけて食べた時
のきゅうりの味、大人なった彼女の中に美味しい記憶としてしっかり残って
います。
塩もみや塩がけ、マヨネーズがけ、ドレッシングがけやポン酢がけ、酢の物
やお漬け物、何もかけないきゅうり…、彼女は、きゅうりは火を入れたり
しないで食べるのが当たり前で、火を入れたりしてしまっては美味しくない
と思っていました。
ところが、数年前、彼女の妹が、縦に切ったきゅうりにマヨネーズをかけ、
アルミホイルで包んでレンジで温め、それに七味唐辛子をかけて食べ
させてくれました。
『えっ、これ何、美味しい~!』
彼女は、きゅうりの違う顔を知りました。
彼女は、きゅうりが大好きです。
彼女のストーリー番外編2
〝彼女の好きなもの7〟へつづく
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