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『大好き』12

(これは物語です)

「2.こすもす」

ー2.わんこー

「ねぇ…、ぼく、わんこ…?」
同じくらいの小さな女の子に何度も聞いてたの

「きっと、そうよ」
あたしは、わんこに言ってあげたの
だけど、聞こえなかったみたい…
だから、風と一緒にゆらゆら揺れてあいさつしてみたの
でも、わんこは、やっぱり、わからなかったみたい…
あたしは、何だか、“淋しい”って思ったの

あたしは、わんこが、丘のそばを通るたび、風と一緒にゆらゆら揺れて、
あいさつしてるのだけど、わんこは、いつも、あたしには気づいてくれないの…
だから、あたしは、いつも何だか淋しくなるの…

あたし、ずっと、風と一緒で、淋しいなんて思わなかったのに…


ー“大好き13”へ続くー









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『大好き』11

(これは物語です)

「2.こすもす」

ー1.あたしー

あたし、小さな丘の上で、一人で立ってるの
「あっ、一つだけのこすもすだ!」
小さな男の子がこっちを見て言ったの
だから、あたしは、きっと…、“こすもす”…

いつも涼しい風が吹いてくれて、あたしをゆらゆら揺らしてくれる
だから、あたしはちっとも淋しくなんてないの…
いつも涼しい風と一緒だから…
あたしは、ずっとそう思ってる…

一人でずっとこの小さな丘に咲いている、きっと、これがあたしなの
風にゆらゆら揺れてるのがあたしなの


ー“大好き12”へ続くー










『大好き』10

(これは物語です)

「1.わんこ」

ー5.ずっと…。ー

こすもすをそっとくわえてぼくは歩いた。
ぼくは歩いて、そこで歩くのをやめた。
ぼくの目の前の原っぱにいっぱいのこすもすが優しく揺れてた。
「ここならきみはひとりぼっちじゃないね」
ぼくは、こすもすをそっとそっと草の上に置いて、鼻先をくっつけた。
「あのね、ぼくももう、ひとりぼっちじゃないよ」
いっぱいのこすもすが嬉しそうに優しく揺れてくれてた。
「ねぇ、ありがと、みんなでいっぱいお話できるね」
ぼくは、また、鼻先が『くすっ』ってして、体が『ふわっ』ってした。
そんなぼくをきみが嬉しそうに優しく見つめてくれてる気がしたんだ。
「きみのいるここにまたお話しにくるからね」

ぼくは、今度はひとりで歩きだした。
「またね・・・」
少し冷たくなってきた風と一緒に小さく聞こえた気がした
「うん、またね」
歩き出していたぼくは、もう一度歩くのをやめて原っぱの方を振り返った。
「これからもいっぱいいっぱいお話しようね、ずっと…。


ー“大好き11”へ続くー





『大好き』9

(これは物語です)

「1.わんこ」

ー4.いのちって…?5ー

「ねぇ、このこすもすの中のいのちが始まることはないの…?」
「うーん」
大きなわんこは、唸って、黙った。
「ねぇ!」
ぼくは、大きなわんこがちょっと飛び上がったくらいに
大きな声を出した。
大きなわんこは、ちょっと飛び上がった後、また、
ふーっと息を吐いて、静かに話してくれた。
「あの丘の向こうに少し小さい丘があるんじゃがな…、
そこにこすもすが沢山さいてるんじゃよ…」
「そこで、また、いのち、始まるの…?」
「…」
大きなわんこは、また、ちょっと黙って…
「いや…、かわいそうじゃが…、やっぱりな、もう、
そのこすもすのいのちはな、始まることはないんじゃよ…」
「そう…」
「ただ…、こすもすの沢山咲いてるあの丘の土に戻してやれば
一人にはならんからな…」
「そう…、そうだね…」
「一人では寂しがるじゃろう…、こすもすもな…」

ぼくは、大きなわんこに「ありがとう」って言って、『向こうの丘』の土に
きみの体を戻してあげるために歩き始めた。


ー“大好き10”へ続くー






『大好き』8

(これは物語です)

「1.わんこ」 -4.いのちって・・・?4-

ぼくは、鼻先が「つんっ」としたままちょっと考えた。
考えて・・・、ぼくのそばで、また体を伸ばしている大きなわんこに
また聞いてみた。
「ねぇ・・・いのちって、どこにあるの・・・?」
大きなわんこは、またゆっくり大きな声でお話してくれた。
「そうじゃな・・・体の中じゃよ・・・」
「ふーん」
「小さな花の中にもちゃんとあるんじゃ」
大きなわんこは、ぼくの下にいたきみを見た。
「いのちってなに・・・?」
「うーん・・・そうじゃな・・・」
「ぼく、わかる・・・?」
大きなわんこは、ちょっと黙って、いつのまにか出てた
お星さまを見上げてから、ゆっくり大きな声でお話してくれた。
「楽しい・・・、悲しい・・・、寂しい・・・、嬉しい・・・、そうじゃな・・・
体の中から出てくるそれが命なんじゃよ!」
「ふーん、楽しいって・・・?悲しいって・・・?」
「わしをけとばしそうに走っとったあの時、楽しそうじゃがな・・・」
「そーかー!ぼく、あの丘に走ってると、なんだか体が「ふわっ」となって、
鼻先だって「くすっ」としてた・・・」
「そうじゃよ、そんなふうに体から溢れるもんが、みんな命なんじゃよ」
「じゃあ、ぼくが抜いちゃったせいで大好きなこすもすさんがゆらゆら
揺れてくれなくなっちゃって、体がなんか「ずんっ」となって、
鼻先だって「つんっ」としたのは・・・?なに・・・?
「うーん。それはきっと、悲しい・・・寂しい・・・なんじゃな」
「そっか、あの「くすっ」としたり、「ふわっ」としたり、「ずんっ」としたり、
「あれ」がぜーんぶいのちなんだね」
「そうじゃな」
大好きなわんこは、ふーっと息をはいて背伸びした。

-“大好き9”へ続く-







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