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小さな羽根Ⅱ天使の願い9

(これは物語です)

『小さな羽根』


Ⅱ 天使の願い9


「ジュナ…、大丈夫…?」
「ああ…」
「帰りましょう…」
「ああ…」
「ジュナ…、飛べる…?」
「ミーメ、神様は何故、僕のような者をお造りになったんだろう…?」

ジュナとミーメは、神様に願いを聞き入れてもらえないまま金色の光の中を
帰って行くことになりました。
くる時にはミーメと手を繋いで飛べていたジュナが、今は、もう、ミーメに
抱えられるようにしか飛べなくなってしまいました。
ジュナの瞳からは、輝きも力もすっかり失われていました。

『彼は、いったい、どうなってしまうの…?』

ミーメの心は不安でいっぱいになっていました。

神様は考えていました。
『私は確かに、持って生まれたものを変えることを禁じている、
そのために、ジュナと同じように命をかけた願いを叶えてやれなかった
者もたくさんいた…、その願いを叶えてやるべきだったのだろうか…?、
そうすれば彼らは苦しみから救われることになったのだろうか…?、
ジュナ…、お前の言う本当の自分の姿とはなんだ…?』
『ミーメ、その願いを叶えてやることで、お前をも救えることになったのだろか…?』

神様は、その答えを出せずにいました。


ー“Ⅱ天使の願い10”へ続くー








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小さな羽根Ⅱ天使の願い8

(これは物語です)

『小さな羽根』


Ⅱ 天使の願い8


「体に異物をつけるということは、また、新たな痛みや苦しみを背負うことになる…」
「新たな痛み…?、苦しみ…?、大丈夫です!、今までの苦しみに比べたら…、
僕は耐えられます!」

ミーメもジュナの言葉に助け舟を出すように、神様にもう一度願いました。

「私は、彼のことを愛しています…、だからこそ、今の彼の苦しみを見ているのが
辛いのです、彼を今の苦しみからお救い下さい…」
「だがな、ジュナ…、ミーメ…、そうすることで今までよりも大きな苦しみを
背負うことにもなりかねない…、今までよりもたくさんの涙を流すことにも…」
「ああ…、神様…!」
「さぁ…、ジュナ…、ミーメ…、もう、帰りなさい…」
「神様…!」
「私は、持って生まれたものを変えることは禁じている…」

ジュナとミーメは、神様に促され部屋を出ました。

この部屋に案内してくれた“エリア”が廊下を歩いていたジュナとミーメを迎えに
きてくれました。
“エリア”は、最初に出会った時と同じ優しい微笑みで、出会った時と同じく
小さな会釈をしてくれました。
ジュナとミーメは、きた時とは全く違う気持ちで、黙って〝エリア〟の後を
ついて行きました。

“エリア”は、最初に出会った時と同じ門の前までくると、また、優しく、
微笑んで、会釈をしました。

「それでは…、また…」

“エリア”は、小さく丁寧に挨拶をしてくれました。


ー“Ⅱ天使の願い9”へ続くー






小さな羽根Ⅱ天使の願い7

(これは物語です)

Ⅱ天使の願い7

「ジュナ、ミーメ、お前たちはお互いを思いあい、お互いを守り…、
寄り添って生きている…、それは、お前たちにとって何よりも
幸せなことではないのか…?」
「はい…、彼女がいてくれることは、僕の大きな力になっています」
「ジュナは、そのままのミーメを愛し、ミーメ、お前もまた、
そのままのジュナを愛したのではないのか…?」
「…、私も彼のことをとても愛しています…」

神様はもう一度雲の椅子に座り、ジュナとミーメのことを再び優しく見つめました。

ジュナとミーメの心からの願いは、神様に聞き入れてはもらえなかったのです。

ジュナは、それでもどうしても諦められず、最後の望みをかけて、
もう一度、神様に願いました。

「神様、僕は、仲間たちと同じ本当の僕の姿になりたいのです、
大切なミーメが、もう僕のために悲しまなくてもいいように…、
持って生まれたこの羽根を直して頂くことができないとおっしゃるのなら、
造りものでも構いません、どうか、僕の右の背中の小さな羽根をもぎとり、
左の背中と同じ形の羽根をつけて下さい…!」
「ジュナ…、お前は、そんなに…」
「神様、どうか、解って下さい!」
「ジュナ…、だが、そうすることもまた、持って生まれた体を変えて
しまうことになる、持って生まれたものをもぎとり、新たに造りものを
つける…、それは、ジュナ…、その体に異物をつけることになる…」
「僕はそれでも構いません…、せめて、僕を仲間たちと同じ姿にして
下さい、本当の僕の姿にして下さい…!」

-“Ⅱ天使の願い8”へ続く-






小さな羽根Ⅱ天使の願い6

(これは物語です)

Ⅱ天使の願い6

「お願いします…!、僕はこの小さな羽根を持って生まれてきたことで、
ずっと苦しんできたのです!」
「そうだな、ジュナ…」
「僕は与えて頂いた仕事も仲間と同じにはできず、仲間たちにバカに
されているのです…!」
「ジュナ…、お前はお前の仕事をすればいい…!、それでバカにしたりする者が
いるなら、その昔は、お前のことを何も知らないのだから…」
「神様、お願いです…、僕は、もう、こんな姿で生きていくことが耐えられないのです…!」

ジュナは、雲の床に泣き伏してしまいました。

神様は、とても悲しい顔をして、雲の椅子から立ち上がり、ジュナの肩に
優しく手を置きました。

「ジュナ…、お前は、ずっと一人ではなかっただろう…?」

神様は、ジュナの隣で涙を流しながら、じっと見守っているミーメの方に視線をやりました。

ミーメは、神様を見つめました。

「神様、お願いします…、彼はもう、たくさん傷つきました、どうか、彼をお救い下さい…!」

ジュナは自分のためのミーメの言葉を聞いて、もう一度、思いを込めて、
神様の方に向き直り、真っ直ぐに視線を送りました。

ミーメは、ずっと僕の側にいてくれました、だから僕は、こんな姿でも生きることが
できたのです…、僕は、ミーメを愛しています!、僕は、本当の僕の姿になって、
大切な彼女を守りたいのです…!」

-“Ⅱ天使の願い7”へ続く-






小さな羽根Ⅱ天使の羽根5

(これは物語です)

『小さな羽根』


Ⅱ天使の願い5


「ジュナ…、ミーメ…、久しぶりだな…」
「はい…、お久しぶりでございます」
「よくここまで辿り着いたな…」
「はい…、ありがとうございます…」

雲の椅子に座った神様は、優しく微笑み、ジュナとミーメを見つめました。
ジュナは、待ちきれない様子で深呼吸をして、真っ直ぐに神様の方を見ました。

「神様…!、今日は、お願いにまいりました…!」

神様は、静かにジュナの次の言葉を待ちました。

「僕の右の背中の小さな羽根を、左の背中の羽根と同じにしてほしいのです!」

ミーメがジュナの隣で、今にも泣き出しそうな瞳をして見守っていました。

「神様、お願いです、僕を仲間と同じ姿にして下さい…!、本当の僕の姿にして下さい…!」

ジュナが重ねた言葉に神様は、ジュナよりも深い深呼吸をしました。

「ジュナ…、それはな、私には、できないんだ…」
「えっ…、何故ですか…!?」
「私は、全ての者に、持って生まれたものを変えることを禁じてきた、たがら…、お前が持って生まれたその羽根を変えることはできないんだ…!」
「変えるのではありません…、間違って生まれたこの姿を本当の僕の姿に直してほしいのです…!」
「それでも…、やはり…、生まれたままを変えることになる…」


ー“Ⅱ天使の願い6”へ続くー







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