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彼女のストーリー12ピアス

(これは物語です)

『ピアス』

「痛くない…?」
「大丈夫!」
「待って!、もうちょっと氷で冷やして!」
「わかった!」

「いくで!」
「うん!、いいよ!」

“パチン”

彼女の耳には結構大きめな音が届いて、ピアスの穴が開きました。
「大丈夫やったやろ…?」
彼が彼女の耳を綿棒で消毒しながら言いました。
「うん!、ちょっとチクってしたけど、思ったより痛くなかった!」
彼女は、笑顔で彼に応えました。

彼女は、友達の介助者として彼と出逢いました。
一人暮らしを始めたばかりの頃、彼女はその友達とカラオケに行ったり、
ごはんを食べに行ったり、お互いの部屋でおしゃべりをしたりよくしてました。
そこに彼が介助者としてよくきていたのです。
この頃の彼女は、家にヘルパーさんにきてもらっていましたが、電動を運転
して一人で外出することもありました。
だから、彼女と彼と友達との三人のメンバーになることが多くあったのです。
『あっ、またこの人』
彼に対する彼女の印象は、最近はそんな感じでした。
『あっ、また会えた!』
何度か会って話をしたりするうちに彼女の彼への印象は、少しずつ変わって
いきました。

「俺と一緒に生きてくれ」
彼女は、彼からこんな言葉を言われました。
「えっ…、付き合うってこと…?」
彼女は、その言葉に驚いて彼に聞き返しましたが、返事をすることは
できませんでした。

彼女だって、今まで男の人と付き合ったことがない訳ではありませんでした。
だけど…、少しでも付き合っていることが親にわかりかけてしまう親は、
何だか、大騒ぎをするのです。
「車いすのあんたがそんなこと…、自分のことが全部できるようになって
からにしなってからにしなさいう!」
『じゃあ、一生、無理やん』
彼女は思いながらも、言っても伝わらないだろうと黙っていました。

『前の彼氏の時も面倒くさいことになったしなぁ…』
そんな思いが彼女の心を止めていました。
だけど…、彼に会う度に彼女は彼に惹かれていきました。

彼と二人でも会うようになっていたある日、彼女の買い物の荷物を両手
いっぱいに持って彼女の前を歩いていた彼が突然、そのまま顔から
こけてしまったあと、何もなかったように立ち上がり、また荷物を持って
普通に歩き出した姿を見て彼女は決めました。
『この人と付き合ってみよう!』

「私、ピアス開けてみたい!」
彼女は彼に言いました。
「俺が開けたるわ」
「大丈夫…?」 
「うん、ピアッサーでやったら大丈夫や!」

『今度は、ちゃんと親にも話そう…、あの頃よりは、私の気持ち、
聞いてくれるよね…、きっと大丈夫…!』
『このまま穏やかに、彼と時間を重ねていけますように…』
彼女は“パチン”の音に心から願いました。


-おわり‐













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