(これは物語です)
『なかよし』
『鮮やかな色をしたきいろちゃん』と『澄み切った色をしたみどりちゃん』と
『可愛らしい色をしたぴんくちゃん』は、とてもなかよしでした。
みんなお互いの色を『いいな~』と思っていました。
まあるい形をした『きいろちゃん』と『みどりちゃん』と『ぴんくちゃん』は、
いつもいつも一緒に遊んでいました。、ぴょんぴょんはねて、おにごっこしたり、
かくれんぼしたり、ぶらんこをこぎあったり、お話をして笑い合ったり、
一緒にいると楽しくて楽しくて時間なんて忘れてしまうほどでした。
それでも、空が夕焼けに染まるころには、みんなそれぞれのお家に帰らなければなりません。
「今日も楽しかったね…」
「また明日遊ぼうね」
「うん、ばいばい…」
お別れの言葉を言い合う時は、みんな淋しくて淋しくて仕方ありませんでした。
そんなある日、『きいろちゃん』が言いました。
「ねぇ、私たち一緒になろうよ」
『みどりちゃん』がうなずきました。
「うん、そうすれば、ずっと一緒だもんね」
『ぴんくちゃん』もうれしそうに言いました。
「そしたら、もっと楽しくなるね」
そして『きいろちゃん』と『みどりちゃん』と『ぴんくちゃん』は、みんなそろって思いました。
「私たち、もっときれいな色になれるね」
『せ~の』三つの色は重なりました。三つのまあるい形は混じり合って、
一つのまあるい形になりました。
「一つになれたね」
みんなは喜びました。
ところが、いつもみたいにかくれんぼをしようとして…、
「誰が見つけるの…?」
おにごっこをしようとして…、
「誰がおいかけるの…?」
ぶらんこで遊ぼうとして…、
「誰がこいでくれるの…?」
ぴょんぴょんとびはねていました。
その時、一つのまあるい形になったみんなは、水たまりに映った自分たちを
見てびっくりしました。
「あれ、私たち何色…?」
そこに映っていたのは、鮮やかでもない透き通ってもいない可愛らしくもない、
きれいでもなくて見たこともない色のまあるい形でした。
「なんか、変…?」
「うん、変だね」
「どうしよう…?」
「離れようか…?」
「私たち、別々がいいみたい…」
「そうだね…」
一つのまあるい形は、『せ~の』でまた三つのまあるい形になりました。
『きいろちゃん』が言いました。
「私たち、なかよしだけど、別々がいいね」
『みどりちゃん』はうなずきました。
「うん、私たち、別々でもなかよしだもんね」
『ぴんくちゃん』が嬉しそうに言いました。
「私たち、みんな、きれいな色だよね」
三つのまあるい形は楽しそうに笑い会いました。
「明日も一緒に遊ぼうね」
「ばいばい…『きいろちゃん』と『みどりちゃん』と『ぴんくちゃん』は、
お別れの言葉を言いあって、夕焼けに染まった空の下、
嬉しそうにぴょんぴょんはねて、別々のお家に帰っていきました。
-おわり-
PR