ショートストーリー24
『ぼくの気持ち』
「あいつにまた、針出されたよ!」
「こわいよね!」
「ぼくなんか昨日、かまれそうになったよ」
「みんなと仲良くしたくないのかなぁ…?」
はりねずみくんには、みんなのおしゃべりが聞こえていました。
『違うよ!ぼくだってみんなと仲良くしたいんだ…、だけど…』
はりねずみくんは、小さな心で思っていました。
ある日、はりねずみくんは、木の影にいる人間に気が付きました。
小さな人間と大きな人間…!
『あっ…!、みんながあぶない!』
はりねずみくんは、思わず、人間のそばに行き、体にいっぱい力を入れて
体中の針を思いっ切り突き立てました。
「ぼくたちの森から出て行け!」
人間は、はりねずみくんの針に驚いて、森から離れて行きました。
りすくんが、はりねずみくんに近づいてきて言いました。
「ありがとう!、キミは、ぼくたちのことを守ってくれたんだね!」
「ぼくは…」
「キミは、ぼくたちのことが嫌いなのかと思ってたよ」
「違うよ!、ぼくは…、ずっとみんなと仲良くしたかったんだ!」
「えっ、そうだったの…?」
「うん…、だけど…、みんながぼくを見たら怖がるから、つい…」
「キミもぼくたちが怖くて、針を出したりしてたの…?」
「うん…」
「な~んだ、ぼくたち、ただお互いの気持ちが解らなかったんだね」
「ごめんね、怖がらせちゃって…」
「ううん、ぼくたちだって、ちゃんとキミの気持ちを聞けば良かったんだね、
ごめんね」
「さっきのはりねずみ怖がったわね~」
お母さんがぼうやに言いました。
「きっと、急にぼくたちが来ちゃったから、びっくりしちゃたんだよ!」
ぼうやは、笑顔でお母さんに応えました。
-おわり-
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