(これは物語です)
ショートストーリー18
『大きな大きな木』
大地の真ん中に大きな大きな木があります。
その木は、何十年も何百年もそこに立っています。
花々が咲き優しい風が吹き渡る春の日も
緑豊かで暑い日差しが降り注ぐ夏の日も
風爽やかに色鮮やかな枯れ葉舞う秋の日も
冷たい風の中真っ白な雪が舞う冬の日も
大きな大きな木はずっとそこに立っています。
たくさんたくさん雨が降り、雷が激しく打ち続けても
それでも、大きな大きな木は、グッと耐えてそこに立ち続けます。
やがて、雲間から日が差して穏やかな風と時が流れ出します。
真っ白な雪が降り続け、銀世界と凍える冷たい風が
時には吹雪になって大きな大きな木を包みます。
それでも、大きな大きな木は、グッと耐えてそこに立ち続けます。
やがてまた、雲間から日が差して暖かい雪溶けの時になります。
ただ繰り返し大きな大きな木はずっとずっとそこに立っています。
ただ命を持ち、大きな大きな木は、ドン!とそこに立っています。
大地の真ん中に大きな大きな木があります。
その木は、何十年も何百年もそこに立っています。
-おわり-
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