(これは物語です)
『発売日の前日』
「予約している○○○○○ってCDは入りましたか…?」
「はい、入荷しております」
「えっ…、そうですか、じゃあ、引き取りに行きます」
「はい、お待ちしています」
今日は、彼女の好きなアーチストの新しいCDの発売日の前日。
彼女はいつものお店に電話で予約をしていました。
「予約したら、発売日の前日には入荷するんですよね…?」
「はい、そうです、入荷しましたらご連絡させて頂きます」
「はい、よろしくお願いします」
彼女は、1日早く手に入ることにワクワクして、今日は朝から
ずっとお店からの電話を待っていました。
外出先でもずっと携帯を気にしていました。
夕方になって、家に帰ってきても連絡はありません。
お店からの連絡があったら、彼に電話してお店に取りに行って
もらう約束になっていました。
『これ以上遅くなったら、今日には取りに行ってもらえないかも…、
せっかく前日に手に入るって思ってたのになぁ…、今日には入って
こないのかなぁ…?』
彼女は、こちらからお店に電話することに決めました。
「予約している○○○○○ってCDは入りましたか…?」
「はい、入荷しております」
そのサラっとした店員の応えに彼女は驚きました。
『え~、待ってたのに~!』
彼女は、彼に電話をして、お店に入荷したCDを取りに行ってもらう
ようにお願いしました。
『な~んだ、もっと早く電話してみればよかったな…、“連絡させて
頂きます”って、なんだったんだろうな…?』
彼女はそんなことを思いながら、彼のバイクの音が聞こえてくるのを
耳を澄まして待ちました。
-おわり-
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