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ちびちゃんストーリー1

(これは物語です)

『キラキラ』

ちびちゃんの家族はお父さんとお母さんとちびちゃんと同じ歳の妹です。
でも、ちびちゃんは、家族と一緒にお家で暮らしていませんでした。
ちっちゃいちびちゃんは家族と離れて、ちびちゃんと同じように立って
歩くことができなかったりするお友達と一緒に園で暮らしていました。

ちびちゃんには、とても楽しみにしていることがありました。
その1つは月に一度やってくる面会の日、ちびちゃんは朝から待ち遠しくて
なりません。その時間になると、ちびちゃんたちがいる部屋に
『パタパタパタパタッ』とたくさんのスリッパの足音が聞こえてきます。
「あっ、きた!」
その足音はだんだん近づいてきます。そして、ちびちゃんたちがいる部屋に
入ってきます。ちびちゃんは、たくさんのお母さんたちの中から、
ちびちゃんのお母さんとお父さん、妹を探すのです。そうしているうちに、
お母さんや妹がちびちゃんの姿を見つけて近づいてきてくれる時もありました。
ちびちゃんのとても嬉しい時間でした。
でも、そんな時間はすぐに終わってしまいます。

「じゃあね、また、くるからね」
時間がくるとお母さんたちはそう言って、外に繋がる階段を降りて行きます。
ちびちゃんはいつもその階段の扉の所までお母さんたちと一緒に
行っていました。でも、ちびちゃんは、扉の前までしか行けませんでした。
階段を降りて行くのは、お母さん、お父さんそれに妹だけ…。
ちびちゃんは、階段の上の扉の前で消えて行く家族を見ていました。
階段の前の小さな扉には赤や黄色の綺麗な色のガラスが
はめ込まれていて、それが光に反射してキラキラしていました。
ちびちゃんは、家族が帰ってしまった後、その“キラキラ”を
見つめて『なんで、私は、帰れないのかなぁ…?』
ちっちゃな心で考えていました。


-おわり-





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小説『初恋9』

(これは物語です)

9.初恋

道に迷ったみきは見知らぬ人に助けられて、やっとのぶの寮に到着し、
車椅子バスケットの試合が行われていた体育館に向かって電動車椅子を
運転していました。
そして、まだ暑い日差しに照らされて、みきは思っていました。
『私…、あんな大変な思いをしても、のぶに会いたかった…?、
のぶは、本当に私のこと待っていてくれてた…?、私たちって…』

みきが体育館の入口に近づくと、のぶがみきを見つけて向かってきました。
「みき!、遅かったやん、どうしたん!心配したやん!」
「ごめん、迷ってしまって…」
「えっ、そうやったん」
「知らない人が車で送ってくれて、やっとこれたよ」
「車でって、電動ごと…?、すごいなぁ」
「でも、もう、試合、終わってしまったよな…?」
「うん、とっくに…、でも、まあ、ケガなくてよかった!」
「暑かったやろ、ジュース買ってくるよ」

のぶがジュースを二つ持って戻ってきました。
「お待たせ」
「うん、ありがとう」
ジュースを飲んで、みきはのぶに切り出しました。
「なぁ…、私たち、ちょっと頑張ってみたけど、どう…?」
「どうって…?」
「このまま付き合っていく…?、私と恋人同士でいたい…?」
のぶは、黙ってジュースを飲んでいましたが、決心した様子で
みきに向かって言いました。
「実はな、俺もな、ちょっと思ってた」
「そうなんや」
「みきと話たりしてるのは楽しい…、でも、友達でいいかなって…」
「私もそう思う、のぶとは友達でいいかなって…」
「俺から告白したからさ…」
「言いだせなかった…?、もう、ほんとの気持ち言ってよ」
「あの頃とは違うよな!」
「そうやね!」
「やっぱり、初恋は初恋やな!」 
のぶは笑顔でみきにそう言いました。
「うん、好きになってくれてありがとう…」

「心配やから、送っていくよ」
のぶはそう言って、みきを駅まで送ってくれました。
のぶは駅の改札まで一緒に行ってくれました。
「ありがとう、また、どっかで会ったら声掛けてなっ」
「うん、姉さんもな」
「うん」
「じゃ、また」
「うん、またね」

「初恋は初恋か…」
みきはのぶと別れてから小さく呟きました。
『初恋の人…?、私、ちょっといい女…?』
みきは、まだまだ暑い夏の青空を見上げました。
「“初恋”に、やられたかな…」
みきは誰にも聞こえないように、もう一度小さく呟いてみました。
そして…、改札に入り、人の波と共に電車に乗っていきました。


-『初恋』完-






小説 『初恋8』

(これは小説です)

8.迷い道

夏の日差しはどんどん強くなり、のぶの寮の体育館を目指す電動車椅子
とみきにギラギラと襲いかかりました。
「あっつい…!」
みきはあまりの暑さに日影を探し、電動車椅子を止め休みました。
「おかしいなあ、どこで道、間違えたんかなぁ…?」
みきは、少し大きめの声に出して言ってしまいました。
そして…、『もしかして…、私、迷った…?』みきは、迷ったことを認め、
目印の○○橋の場所を道行く人に聞いてみることにしました。

「あの~、すみません…、○○橋にはどう行けばいいですか…?」
みきは、前から歩いてきた女の人に聞きました。
「○○橋…?、反対の方を真っすぐ行ったら着くん違うかなぁ…?」
「ありがとうございました」
『やっぱり、方向間違えたのかなぁ…?』みきは女の人が
教えてくれた道を進みました。
ところが、いくら走っても○○橋は見えてきません。
気が付けば、もう、一時間は走っていました。
汗もたくさん流れてきてお化粧は台無しだし、
何より暑さに頭がクラクラしてきました。『もう、だめ~!』

みきは、バン方の車の陰に立っていた男の人に声を掛けました。
「あの、○○橋に行きたいですけど…」
「○○橋ですか…?」
その人は、驚いている様子でした。
「あっ、いえ、そこにある体育館に行きたいんですけど…!」
気が付けば、みきは助けを求めるように、その人に説明していました。
「これで行くんですか…?」
その人は、みきの乗っている電動車椅子に目を落としました。
「はい…」
みきの応えにその人は、心配そうにみきの顔を見て言いました。
「それで行くんなら、ここから、後、一時間くらいはかかりますよ」
「え~、私、ここまで一時間くらい走ってきたんです…!」
ここから一時間という言葉に、みきの中で押さえていた
何かがはじけました。そして、暑さと頭のクラクラで泣きそうになって、
見ず知らずのその人に言ってしまいました。
「よかったら、送りましょうか…?」
「えっ…」
「僕、その体育館も知ってますし、送ります」
「ありがとうございます…、でも…」
みきは我にかえり、自分の言ったことが恥ずかしくなりました。
「大丈夫です!、この車に乗れれば」
その人は、バン方の車にチラッと目をやり、
何人かの人とみきを電動車椅子のまま乗せてくれました。
そして、体育館に向けて車を走らせてくれたのです。
「大丈夫ですか…?」
運転席のその人は、みきに話かけました。
「あっ、はい…、すみません…」
「大変でしたね」
「なんか、道を間違えたみたいで…」
「車なら、すぐですから、大丈夫ですよ」
「はい、ありがとうございます…」
みきは、その人の言葉に安心しました。

車は、寮に到着しました。
運転してきてくれた男の人が寮の方に人を呼びに行ってくれて、
みきを車から下ろしてくれました。
「体育館は、そこですから」
その人は体育館の方を指差して、みきに教えてくれました。
「本当にありがとうございました!」
みきは何度もお礼を言って、体育館に向かいました。
『もう、とっくに試合、終わってるなぁ…』みきが寮に到着したのは、
お昼をすっかり過ぎた頃でした。


-『初恋』9へ続く-






小説 『初恋7』

(これは小説です)

7.道なり

8月の暑い日、みきは、のぶの寮の敷地にある体育館で行われる車椅子
バスケットの試合を見に行くことになりました。
「俺も出るから見にきたら…?」
「私も本格的な試合見てみたいなって思ってた」
「じゃ、決まり!、ただなぁ、今回は駅まで迎えに行けないねん…」
「えっ、そうなん…」
「うん、俺も試合の準備とかあるしなぁ…」
みきは仕方なく、今回は駅から寮まで一人で行くことにしました。
「駅から真っ直ぐ行って、おしゃれな喫茶店を左折して、後は道なりに…、
○○橋を渡ったら、体育館が見えてくるから、大丈夫…?」
「うん、行ってみる、何回か一緒に行ってるしな」
「駅から30分ぐらいで着くはずやから!」
「うん、わかった、ありがとう!」

みきは、のぶが教えてくれた道順を心の中で繰り返しながら家を出ました。
まず、電車で最寄り駅まで行き、そこからスタートです。
『行ったら行けるよ!』みきは夏の日差しの下、結構軽い気持ちで
駅を出発しました。
『駅から真っ直ぐ…、おしゃれな喫茶店…』
「あっ、あった」
『ここを左折して…、後は道なりに…』
「よし…、順調…」
みきは呟きながら、道なりに電動車椅子を走らせていました。
…の、つもりでした…。

ずいぶん走りました。
『あれ…?、そろそろ○○橋が見えてくるはずよな…?』みきがそう思った時には、
もう、のぶに教えてもらった30分はかなり過ぎていました。
『おかしいなあ…、道なりにきてたはずのになぁ…!』
みきは、しばらくそのまま走っていましたが、目印の○○橋は一向に現れて
くれそうではありませんでした。


-『初恋』8へ続く-





小説 『初恋6』

(これは小説です)

6.二人

みきは、のぶに誘われて、のぶの住んでいる寮の部屋を見に行きました。
もちろん、のぶに駅まで迎えにきてもらいました。
「ふーん、結構広いやん」
「まぁ、基本、二人部屋やし…」
「今は一人なんやし、広く使えるやん」
「まあねっ」
「クローゼットもこんなに大っきいの付いてるし」
「結構、贅沢な感じやろ」
「うん、冷蔵庫も付いてるし、ごはんも炊けるし」
「そうやろ!」

しばらくして…、みきとのぶは並んで座りました。
「みきは実家暮らしよな…?」
「今はそうやけど」
「どっか寮とかに入る気はないの…?」
「うん、ずっと施設にいたし、今は実家で暮らそうかなって…」
「そっか~」
「でも、私、学生の頃、どっか入るんやったら、ここの寮がいいなぁって思ってた!」
「じゃあ、なんで入らへんかったん…?」
「だって、私の障害じゃ無理やろ、ここは…」
「そうか…?、工場の方は無理やけど、俺と同じ授産の方やったら、入れるやろ」
「そうかなぁ…?、でも、見られると思ってへんかった寮の部屋が見られて嬉しかった!」
「それは、よかった!」
「うん、ありがとう!」

のぶの部屋で長い時間二人で話しました。
楽しい時間でした。
ただ、二人の間には相変わらず、喫茶店や外で話をしている時と
変わらない空気が流れていました。


-『初恋』7へ続く-








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