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『大好き』7

(これは物語です)

「1.わんこ」

―4.いのちっていい?3-

「・・・もう、ゆらゆらしたりしてくれないんだ・・・」
ぼくは、ポツンと大きなわんこに言った。
大きなわんこは、ぼくの顔を見て、フーッと大きく息をして、
体を低くして、ゆっくりお話してくれた。
「・・・、命がな、消えてしまったんじゃよ・・・」
「どうして・・・?」
「このこすもすはな、あの丘の土の上から抜かれてない・・・」
「えっ、ぼくが抜いちゃったからなの・・・?」
「・・・、そう・・・、じゃな・・・」
「じゃあ、またあの丘の上にさしてあげたら、ゆらゆらしてくれるよね・・・?」
「・・・、いいや・・・、おわってしまった命はな、またはじまったりは、しないんじゃよ・・・」
「ぼくにも、いのちってあるの・・・?」
「ああ・・・」
「じゃあ、ぼくのいのち、分けてあげるよ」
「命はな、分けてあげたりはできないんじゃよ、命はな、一つずつなんじゃ・・・」
大きなわんこは、ちょっと体を伸ばした。
ぼくは、また、とても鼻先が「つんっ」とした。


―“大好き8”へ続くー






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『大好き』6

(これは物語です)

「1.わんこ」
-4.いのちって…?2―
お星さまが出てきておひさまが出て、またお星さまが出てきて、
またまたおひさまが出てきてもぼくは、ずっときみのそばにいた。

ぼくのお腹がグ~って鳴って、おひさまがぼくの頭の上に来た時、
大きな影がぼくの前を通り過ぎようとした。
ぼくが顔を上げてみたら、止まってぼくにお話してきた。
「どうした…?」「えっ!」ぼくは「びくっ」とした。
“あの大きなわんこ”いつもの野原の端っこでいつもごろっと
しているけど、お話、したことなかった。
大きくて、太い声にも「びくっ」とした。
「今日は向こうの丘の方には行かないのかい…?」
「なんで知ってるの…?」
「わしは、よく、蹴られそうになっとったからな」
「寝てるんじゃなかったの…?」
「寝てても起きてしまってたんじゃよ」
「ふーん、ごめんね…」
「いや…、いいんじゃよ」
「でも、もう、あそこには行かないよ…」
大きなわんこは、ぼくの鼻先の「ふにゃっ」となったままのきみを見つけた。
「あれ…?」
「なに…?」
「そのこすもす、抜いてしまったのか…?」
「こすもす…?」
「そこに大切そうにしている花のことじゃよ…」
「こすもすっていうの・・・?」
「そうじゃよ、その花の名前なんじゃよ」
「大好きなのに、知らなかったよ…」
ぼくの鼻先は、また、すごく「つんっ」とした。
ふと見るときみは、ぼくの鼻先で、もっともっと
「ふにゃ」ってなってた。

-“大好き7”へ続く-







『大好き』5

(これは物語です)

「1 わんこ」

―4いのちっていい?1-

おひさまがすごく眩しくて僕は目が覚めた。
「おはよう」ぼくは、「おやすみ」のとき、ぼくの鼻先の方においてあげた
きみに大きな声で言った。「どうしたの・・・?」
ぼくは、何だか体が「ずんっ」とした。
ぼくの鼻先のきみは昨日までのきみとは違ってた。
元気がなくて「ふにゃ」ってしてた。
「どうして・・・?」
聞いてもきみは、いつもみたいに嬉しそうに・・・優しく・・・
ゆらゆら揺れたりしてくれなかった。
「ねぇ、苦しいの・・・?」
きみに触ってぼくが聞いてもきみは、「ふにゃ」ってしたまま・・・。
「今日は、いっぱいお話するんじゃあなかったの・・・?」
ぼくは、体がいっぱいいっぱい「ずんっ」として、鼻先がとれそうなくらい
「つんっ」とした。
ぼくは、そのままずっときみのそばにいた・・・。
ぼくのお話を優しくゆらゆら揺れながら嬉しそうに聞いてくれている
あのきみに逢いたかったんだ・・・。

―“大好き6”へ続くー





『大好き』4

(これは物語です)

「1.わんこ」

ー3.きみとぼく2ー

ぼくは、もっとずっときみとお話してたかったけど、お空にお星さまが出てくるころには、いつもの野原のぼくの場所で『おやすみ』してた。
きみのところは、草が《ふわふわ》じゃなくて、ちょっと《ちくちく》したから…。
ぼくは、もっとずっときみと一緒に居られるには…?って考えた。
考えて…、野原のぼくの場所にきみと一緒に帰ることにした。そしたら、きみとずっとずーっとお話できるよね。
お空にお星さまが出てくるころになっても、一緒に『おやすみ』できるんだ。
きみだってちょっと《ちくちく》するところじゃなくて、《ふわふわ》のところで『おやすみ』できるんだもんね。
きみは、嬉しそうに、優しくゆらゆら揺れてくれた。
ぼくは、そこに一つでポツンと立っているきみのこと、優しくそっとぬいてあげて、いつもの野原のぼくの場所に一緒に帰っていったんだ。

「あした、またいっぱいお話しようね」
きみをぼくの鼻先の《ふわふわ》の草ところにゆっくり下ろしてあげた。
ぼくときみは一緒に『おやすみ』したんだ。


ー“大好き5”へ続くー

『大好き』3

(これは物語です)

「1.わんこ」

ー3.きみとぼく1ー

ぼくは、毎日、いつも、きみのところにお話に行った。
「今日ね、ちょちょさんがお鼻にきてね、ムズムズしたから、
《ふんっ》ってしたらね、ちょちょさん、飛んでちゃった!」
きみは、ゆらゆら楽しそうにゆれてくれてた。
「あのね、お魚、あそこのお池にいっぱいいるんだよ」
きみは、《ふーん》っていうみたいにお池の方みて、体を伸ばしてるみたい。
「ねぇ、ねぇ、さっきね、ぼくと同んなじなのに大きな体したわんこが
いつもの野原の端っこでゴロってしてたよ!」
きみは、ちらっとあっちを見てた。
「ぼくね、早くここに来たくて走ってたからけとばしそうになっちゃった!」
きみは、ゆらゆら嬉しそうにゆれてくれた。

きみは、毎日、いつも、ぼくのお話をきいてくれた。
ぼくは、きみとお話してるとき、いつも鼻先が《くすっ》とした。


ー“大好き4”へ続くー







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