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小さな羽根Ⅲ名前のない天使9

『小さな羽根』


Ⅲ 名前のない天使9


「ミーメ…」
「ジュナ…、大丈夫…?」
「うん…、まだちょっと傷口が痛むかな…」
「そうなの…?」
「でも、もう大丈夫、君の顔見られたから!」
「まあ、ジュナったら!」

ジュナの右の背中の羽根は、左の羽根と同じように大きく美しくなっていました。

ジュナと話ができたことと、美しい羽根に安心したミーメは、静かに様子を見守っていた“天使”を振り返りました。

「ありがとうございました、彼を救って頂いて」
「いいえ、私は、彼を“彼の望む姿”にしてさしあげただけです、
神様がして下さらなかったことを…」
「ええ…」

「ミーメさん、今日からは、この部屋でジュナさんと一緒に過ごしてあげて下さい、
私はあちらの部屋にいますので、何かあればお知らせ下さい」

ジュナとミーナはその日から、白い雲のような“フワフワ”が敷きつめられた“その部屋”で過ごしました。
ジュナとミーメは“フワリ”と寝転び、話をしたり、笑い合ったり、食事をしたり、緑の中を散歩したり…。
ジュナとミーメの間には、穏やかで優しい時間が流れていました。

「ジュナ、その羽根よく似合っているわ!」
「ありがとう!」
「今のあなたの笑顔が、私、とても幸せよ」
「ああ、僕も幸せだよ、ミーメ、ありがとう!」
「私こそありがとうジュナ…、こんなに幸せな気持ちにさせてくれて!」
「これで、もう、仲間にもバカにされない、君のこともちゃんと守って
あげられる…!」
「みんなきっとびっくりするわ!」
「そうだね!」
「ああ…、とても素敵よ、ジュナ!」
「ありがとう、君だって。とても美しいよ、ミーメ!」
「ありがとう、私、ずっとずっとあなたの側にいるわ!」
「僕もだよ、ミーメ…!」


ー“Ⅲ 名前のない天使10”へ続くー






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小さな羽根Ⅲ名前のない天使8

(これは物語です)

『小さな羽根』


Ⅲ 名前のない天使8


「ミーメさん、あちらの部屋の扉は開くまで開けないで下さい」
「ええ、約束します」
「ありがとうございます、それでは…」

「ミーメ…、じゃあ…」
「ええ、行ってらっしゃい…」

ジュナとミーメはもう一度優しく微笑みを交わしました。

ジュナは、“天使”と共に廊下の突き当たりにある部屋に入っていきました。 
〝バタン〟と扉が閉まると、まるでこの家にはミーメしかいないのでは
ないかと思えるほどに静まり返りました。

その日からミーメは、〝シーン〟とした家の中で過ごしました。
一人で食事をし、眠たくなると“天使”に言われた部屋で一人で眠りました。
その部屋には、ミーメが暮らしているところにある白い雲のようなものが
敷き詰められていました。ミーメは、その上に〝フワリ〟横たわり、
少し離れた部屋にいるジュナに心の中で『おやすみなさい』を言って眠りました。
家の外にも出てみましたが、“天使”が言っていたように、自分の他には誰も
いないので、家の中と同じように〝シーン〟としていました。

『ジュナ…、大丈夫よね…?』

ミーメは、今度こそ、彼の苦しみや悲しみが癒やされることを、
彼が“本当の自分の姿”になれることを祈っていました。

〝カチャッ〟ジュナと“天使”が“あちらの部屋”に入ってから7日目の朝、
扉が開きました。“天使”がミーメに静かに声をかけました。

「ミーメさん…、ジュナさんが目を覚まされました」
「えっ、はい」
「中へどうぞ…」
「終わったのですか…?」
「ええ、もう大丈夫ですよ」


ー“Ⅲ 名前のない天使9”へ続くー





小さな羽根Ⅲ名前のない天使7

(これは物語です)

『小さな羽根』


Ⅲ 名前のない天使7


「ミーメさん、ご心配でしょうが、しばらくお待ち下さい」
「ええ…、どうか、よろしくお願いします」
「彼は、きっと大丈夫ですよ」
「信じています、彼のこと…、そして、あなたのことも…」
「ありがとうございます…、あちらの部屋からの音は聞こえないように
なっています、静かに過ごして頂けると思います」
「ええ…」
「それから、お食事は、ここにあるものを何でも使って下さい」
「わかりました」
「眠る時はそちらの部屋で…、それから…」
「それだけ解っていれば大丈夫です、それより…、やはり、長い時間が
かかるんですね…」
「そうですね…」

「ミーメ、心配しなくても大丈夫だよ」
「ええ…、待ってるわね」

ジュナとミーメは優しく微笑みを交わしました。


ー“Ⅲ 名前のない天使8”へ続くー







小さな羽根Ⅲ名前のない天使6

(これは物語です)

『小さな羽根』


Ⅲ 名前のない天使6


「あっ、ごめんなさい…、私のことばかり…」
「いいえ…」
「あなたたちのお話を聞かせて下さい」

ジュナは、小さなこの羽根のために、ずっと苦しんできたこと、
そんな自分を支えてきてくれたミーメのこと…、ミーメと一緒に
長い間飛び続け、神様のところにお願いに行った時のことを話ました。
そして、神様には願いを叶えてもらえずに、絶望して、自分になれる
方法を探し、“名前のない天使”のことを知り、再び、ミーメと一緒に
飛び続け、ここへ辿り着いたことを…。

「お話して下さってありがとうございました…、よく解りました」
「いえ、聞いて下さってありがとうございました」
「でも、その羽根を大きくすることは…」
「それなら、この小さな羽根をもぎ取って、造りものの羽根をつけて
頂いても構いません!」
「それなら可能です」

“天使”は、ジュナに誓約書を手渡しました。

「まず、これにサインして下さい、今後のことは、自己責任ということで
お願いしたいので…」
「わかりました!」

ジュナは、すぐに誓約書にサインをして、“天使”に渡しました。

「早速、明日から始めましょう」
「えっ…、明日から…、って…?」
「時間をたくさん頂きますので…」
「わかりました、よろしくお願いします」

ジュナは、真っ直ぐな視線で言いました。


ーⅢ 名前のない天使7”へ続くー





小さな羽根Ⅲ名前のない天使5

(これは物語です)

『小さな羽根』

Ⅲ 名前のない天使5


「噂を聞いてきて下さったのですか…?」
「はい…、“エデン”の方からきました」
「それは、遠くからいらっしゃいましたね…」

家の中に入ると、“天使”の姿がはっきりと見えました。

「あの…、あなたは、気配を…?」
「ええ…、気配と色がほしいとお願いしたのですが、叶えては頂けなかったのです…」
「自分で直せるんじゃないんですか…?」
「自分の体は無理なのです…、だから…、家に細工をしたのです…、
外に出ても私の他に誰もいないので大丈夫…、でも、自分の姿が鏡にも
映らないのは…」

“天使”は小さく息を吐きました。

「“名前のない”って…?」
「ええ、ここには私しかいないので、名前なんて必要ないのです」
「神様から遠ざかるためって…?」
「神様は、私たちが何処にいても見守ってらっしゃいますよ」

“天使”は、また、小さく息を吐きました。

「ずっと、たった一人で…?」
「ええ…」
「ずっと一人で復習を…?」
「復習…?、そうですね…、復習…」


ー“Ⅲ 名前のない天使6”へ続くー








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