忍者ブログ

カレンダー

06 2025/07 08
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31

リンク

カテゴリー

フリーエリア

最新CM

最新記事

プロフィール

HN:
No Name Ninja
性別:
非公開

バーコード

RSS

ブログ内検索

アーカイブ

最古記事

P R

[46]  [47]  [48]  [49]  [50]  [51]  [52]  [53]  [54]  [55]  [56

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

小さな羽根Ⅳ天使の苦悩4

(これは物語です)

『小さな羽根』


Ⅳ 天使の苦悩4


「おい、ジュナ、仕事が終わったら、あの雲の向こうまで行こう」
「ああ、行こう」
「ジュナったら、またミーメを待たせるの…?」
「そんなに遅くはならないよ」
「早く帰ってあげてね」
「ああ、わかってるよ」
「本当ね…?!」
「大丈夫、ミーメはちゃんと待っていてくれるよ」

ジュナは仕事が終わったあと、仲間たちと遠くまで行って、
夜遅くまで帰ってこないことがありました。
雲の向かうに行ってみたり、雲を追い越すにはどれだけ速く飛べばいいのか
やってみたり、どれだけ高く飛べばお目当ての星が捕まえられるのか試して
みたり、仲間たちと一緒にそんなことをしていました。

「ミーメ、ジュナはまだ帰ってこないの…?」
「ええ、お腹がすけば帰ってくるでしょう」
「だって、あなた、ずっと待っているのに…」
「心配してくれてありがとう、大丈夫よ」
「でも、…!」
「平気よ、ジュナは、ずっと仲間と遅くまで遊ぶなんてできなかったのよ、
やっと、今、それができるようになったのよ」 
「でも、あなただってジュナのために頑張ってきたんでしょ…」
「それは…、ジュナのためだけじゃないのよ」
「えっ…?」
「私は、ジュナの笑顔を見ていたかったの、それが私の幸せなの、だから、
そのために頑張ってきたの、私の幸せのために…!」
「あなた、本当にジュナのこと愛しているのね」
「彼がとても楽しそうな笑顔で帰ってくるのが嬉しいのよ」
「そうなのね、何だかちょっと羨ましいわね」
「ありがとう、でも…、時々は、淋しい時もあるわ」 
「そうよね、だってあなたたち前はいつも一緒だったものね」
「ええ…、そうね…」


ー“Ⅳ天使の苦悩5”へ続くー









PR

小さな羽根Ⅳ天使の苦悩3

『小さな羽根』


Ⅳ 天使の苦悩3


「ミーメ、みんなにこの羽根のこと話そうと思うんだよ」
「大丈夫かしら…?、話してしまって…」
「隠していれば、みんな知りたくなるだろう…?」
「ええ…、そうね…」
「それでも隠していたら、僕を見てみんなは、僕たちが何か悪いことをして
きたんじゃないかって思うんじゃないかなぁ」
「だけど…、神様は…」
「じゃあ、君は僕たちが悪いことをしたって思っているの…?」
「そうじゃないわ…、でも…」
「ミーメ、僕は、たくさん悩んだし苦しんだよ、だけど、君が一緒にいてくれた
から、それを乗り越えて、今、大きな喜びに出逢えることができたんだ!」
「ええ…、私も今、とても幸せよ、でも…、だから…」
「大丈夫だよミーメ、きっと神様も僕たちの幸せを解って下さるよ」
「ええ…」
「隠すより、僕たちが出逢えたこの幸せを、みんなに知ってほしいんだよ」
「“名前のない天使”のことも…?」
「うん、もちろんだよ!、とても大きな力だったからね!」
「そうね、ジュナ、ええ…、そうしましょう…!」

ジュナとミーメは、少しずつ仲間たちにこれまでのことを話しました。
その話を聞いて驚く者、泣き出す者、『よく頑張ったね』と誉めてくれる者、
『そんなことをして大丈夫なのか』と心配してくれる者、そして
『それは神様への裏切りだ!』と怒り出す者もいました。

ジュナとミーメは、これまでのことをみんなに話始めて、気持ちがとても
透き通り、それまでよりもスーッと呼吸ができるようになっていきました。

「ねえジュナ、“名前のない天使”のことを知って、私たちのようにみんなが
お願いに行くようになるかしら…?」
「うん、命をかけた願いを持っている者がね」
「“天使”は困らないかしら…?」
「大丈夫だよ、きっと幸せになるよ、みんなも、『天使』も」
「神様は、お怒りにはならないかしら…?」
「さぁ…、でも、だから、僕たちを見てほしいんだ」
「神様はどんな答えを出されるのかしら…?」


ー“Ⅳ天使の苦悩4”へ続くー







小さな羽根Ⅳ天使の苦悩2

(これは物語です)

『小さな羽根』


Ⅳ 天使の苦悩2


「ジュナ、もう帰ってきたのか」
「ああ」
「お前がいてくれると助かるよ、仕事が早く終わって」
「ああ、ありがとう」
「ジュナ、魂たちは、一つ一つ大切に連れて行ってあげなきゃね」
「ああ、解ってるよ、ミーメ」
「ゆっくり…、静かにね」

ジュナは、仲間たちと同じ大人の魂を抱いて“エデン”に連れて行く仕事ができるように
なりました。
仲間たちより速く飛べるようになって、仲間たちよりたくさんの魂を“エデン”まで
連れて行けるようにもなったのです。
仲間たちは、そんなジュナの変わりように驚いていました。
そして、いつのまにか、ジュナを頼るようにもなっていきました。
仲間たちに『お前が行ってくれると早いから』と仕事を頼まれても、ジュナは、
嫌な顔をせずに引き受けました。

「ねえジュナ、神様はあなたがもう、仲間たちと同じ仕事をしていることを
ご存知なのかしら…?」
「ああ、きっとご存知だよ」
「じゃあ、あなたが仲間の分の仕事も引き受けていることも…?」
「ああ、きっとご存知だよ」
「ジュナ、あなた、何で仲間の仕事まで引き受けているの…?」
「幸せだからだよ」
「えっ…、どういうこと…?」
「僕は、今まではできなかったことができるようになって、それで仲間たちが
喜んでくれる!、それがとても幸せなんだ、だから…!」
「そうなのね」
「神様にも、この幸せな姿を見てほしいんだ」
「ええ…」
「造りものの羽根でも幸せな僕のこの姿を…」
「ええ!」
「僕は本当の僕の姿になれたんだから!」
「そうね、解ったわ、でも無理はしないでね」
「ああ、ありがとう!」


ー“Ⅳ天使の苦悩3”へ続くー








小さな羽根Ⅳ天使の苦悩1

(これは物語です)

『小さな羽根』


Ⅳ 天使の苦悩1


「ねえ、ジュナを見た…?、とても素敵ね」
「あの羽根はどういうことだ…?」
「ジュナもミーメも治してもらったとしか教えてくれなかったわ」
「何でだよ」 
「さぁ…、でも、ミーメがうらやましいわ」
「何があったのかなぁ…」

ジュナに対する仲間たちの視線は、明らかにそれまでとは違っていました。
憧れ…、仲間たちの視線はそれで満たされていました。
金髪に美しく大きな二つの羽根は、整ったその顔立ちを一層引き立てるものに
なっていました。ジュナのその姿は、本当に息を飲むほど美しいものでした。
ジュナが何故そんな姿になれたのか、それを聞いてくる者もいましたが、
ジュナもミーメもそのことは話しませんでした。

ジュナたちが暮らしている“ここ”では、何処までもずっと続いている
真っ白い“フワフワ”の雲の上でみんな一緒に暮らしていました。
気の合う者や愛し合う者がいつも隣り合っていたり、一緒に食事をしていたり、
眠っていたり…、みんな一緒に過ごしていました。“ここ”に暮らす天使たちは、
みんながみんなのことをよく知っていました。
ジュナとミーメの幸せな姿も仲間たちは、よく知っていました。

「神様は、ご存知なのかしら、『名前のない天使』のことも…、私たちのことも…」
「ああ…、きっと、ご存知だよ」
「私たちが今、とっても幸せなことも…?」
「ああ…、きっと、ご存知だよ、僕たちが今、幸せなことも…」


ー“Ⅳ天使の苦悩2”へ続くー






小さな羽根Ⅲ名前のない天使10

(これは物語です)

『小さな羽根』


Ⅲ 名前のない天使10


「具合はいかがですか…?、ジュナさん」
「はい!、もう痛みませんし、新しい羽根にもなれました」
「そうですか、もう空は飛べますか…?」
「はい、もう、散歩しながらも飛んでいます、とても速く飛ぶことができて嬉しいです」
「調子は良さそうですね」
「はい、とても良いみたいで私もびっくりしています」
「それなら、もう、お帰り頂いても結構なのですが…、どうなさいますか…?」

“天使”は何でもないことのように言いました。

「ええ…」
「それなら、すぐ帰ります!」

ミーメの少しの戸惑いに気づかず、ジュナはすぐに応えました。

「わかりました、それでは、少しお待ち下さい」

“天使”はそう言うと、少し急ぎ足で“あちらの部屋”に戻っていき、
また少し急ぎ足でこちらに戻ってきました。

「お待たせ致しました、サインして頂いた契約書です」
「はい、ありがとうございます」
「今後のことは、この“契約書”に基づいてお願い致します」
「はい、わかりました…」

「それでは…、ミーメさん、ジュナさん、お元気で…」
「ええ…、あなた、こんなに広い所でまた一人になるんですね、寂しくはないんですか…?」
「寂しい…?、いつもの暮らしに戻るだけです」
「お強いんですね」
「いいえ…、あなたの方が…」
「えっ…」
「あっ…、いいえ…、喋りすぎてしまってごめんなさい…、ミーメさん、
ジュナさん、どうかお幸せに…、心からお祈りしています」

ジュナとミーメは、もう一度“名前のない天使”にお礼を言って青い空へ
飛び立ちました。
くる時にはミーメと手を繋いでゆっくりと飛んでいたジュナが、今はミーメより
先に飛び、やがてそれに気づき、ミーメに飛ぶ速さを合わせていました。

青い空を抜け、銀色の光、そして金色の光を抜けて、くる時と同じように遠く遠く
飛び続けて帰っていきました。
幸せな思いを抱いて…。


ー“Ⅳ天使の苦悩1”へ続くー








忍者ブログ [PR]

graphics by アンの小箱 * designed by Anne